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五話 師とは

どうも、ブックマークの件数が五となっていて狂気乱舞している最中のんぷぁです。

ブックマークに追加してくれた皆様に応えれるように、これからも面白く読んでいて楽しい小説を投稿出来るよう、頑張ります!

目を瞑り、葛葉は頭の中である物を想像する。現代文明の利器。人をいとも容易く殺せ、救う武器。部屋全体が魔力に満ち、溢れては収束する。

葛葉の突き出している右手に、光が、ある物を形どる。そして葛葉の右手にズシリと、重いものが現れ、すかさず手に力を込める。葛葉はゆっくりと両目を開く。


「……出来た」


葛葉の右手には、拳銃が握られていた。


「…………M1911コルトガバメント」


葉加瀬は目を見開き、呟く。


「……触らせてくれるかい?」

「え? あ、はい」


葛葉は葉加瀬に銃を手渡す。


「本物だ……一体これは? これ自体がチートなのか? この世界では造れないと、そう考えていたが。理が変わったのか?」


とブツブツ呟く葉加瀬。


「ん? あぁ、すまん。この世界ではこういう現代文明の武器は作れなくてね。ナイフやクロスボウとかは造れるのだが、どうしても銃だけは作れなかったんだ」


……ってことはある意味チートかな? やっぱり主人公はチート能力持ってなきゃ駄目だよなぁ!!


「だがまぁ、本物の銃が造れても、この世界の魔獣に効くかは定かではないがね」

「……ですよね」


そらそうだよな。だって、今までこの世界で銃なんて使われてねぇだろうし、チート能力かはまだ分からないか。


「ま、明日にでもクエストを受けて、試してみると良いさ。あぁでも、不帰の森はLv.2以上じゃないとクエストは受けれないからね」

「そうなんですか?」

「あぁ、ラグス君が不帰の森に行けるのはLv.4だからね」


葛葉は二日前、自分を助けてくれた青年を思い返す。良い奴だったな。見ず知らずの俺を命懸けで守ってくれたんだから。


「その、ラグスって人は?」

「ん? 彼なら今頃、緋月に稽古してもらってるよ」


稽古?


「緋月は彼にとって師匠だからね」


あのギルド長が……? 葛葉は到底あの、にへら顔が良く似合う少女が師匠になれるとは、思えない。


「あれでもLv.9のチート持ちだよ」


れ、Lv.9。ラグスよりも圧倒的に強いんだろうな。てか、事実あのゴブリンを三十秒も満たない時間で倒したしな。


「やっぱり、異世界のロリっ娘は強いんだな」


そう自然と口に出でしまった。




——それから色々と話し合い、


「長くなってしまったね」

「いえ、ありがとうございます」

「まぁ、厳しいだろうが冒険者として頑張ってくれたまえ、バックアップはギルドがするから。あと、クエストをするまでここに泊まるといい、金も無いだろう?」


微笑みながら葉加瀬は言う。それに葛葉は苦笑し、首肯するのだった。


「あはは……今は無一文です」


死ぬ直前までは持っていたが、というか実際財布はある。が、元の世界の硬貨が使えるわけもない。


「なら……これくらいをあげよう」

「い、良いんですか⁉︎」


葉加瀬が自分の財布から、五枚ほどの——千円札に似た——円札を取り出し、葛葉に手渡してくる。


「構わないよ。それで五万円だ、好きに使って構わない。ただ、あまり高い物は買えないからね」


葉加瀬は肩をすくめそう言う。貰えただけ十分だ。貰った五万円を自分の財布に大事にしまう。


「それじゃ、この街でも案な——」

「——終わった〜!」


とバンっ‼︎ と開けられる。急な音と声に、葛葉の肩が跳ねる。振り返ると、緋月がタオルで汗を拭き取りながら、部屋に入ってくる。その後ろには、助けてくれた青年——ラグスが居た。


「——ッ! 姐さん‼︎」

「——えっ?」


ラグスは葛葉を見つけると、スライディングしながら土下座し、葛葉を紋々背負ってるの人が呼びそうな言葉で呼ぶ。


「あ、姐?」

「姐さん!! どうか俺を弟子にしてください‼︎」


土下座し懇願するラグス、困惑のさらに困惑に陥る葛葉、そんな二人をニヤニヤとドッキリを仕掛けた人のように含み笑いする緋月。そして、それをため息を吐きジト目で緋月を見る葉加瀬。


「姐さんには、英雄とはなんたるかを学びたいのです!! どうか、俺を弟子にして下さい‼︎」

「……弟子とかよりも、その姐さんって?」

「……? 師匠が二人目の師匠は姐って呼ぶと……」

「はぁ〜緋月は何を教えてるの?」

「えへへ〜面白そうだったから!」


悪戯っ子の笑みを浮かべ、飄々とする。そんな緋月に、葉加瀬は緋月のつむじに手刀を喰らわせる。


「痛ったい!?」


頭を抑え、涙目で葉加瀬を睨む緋月。


「まったく……葛葉はどうするの?」

「どうするって……」


葛葉の今までの人生において、誰かを指導するなんてことは一度もなかった。それに自分には、そんな権利は無い。自堕落に生き、周りに迷惑をかけた。そんな葛葉に、誰かを導く術は持ち合わせていない。


「……分かった。弟子になっても良いけど何か教える、なんて事出来ないよ?」

「大丈夫です! 姐さんの背中に着いて行くことが、俺にとっての一番の指導ですから!」


 俺の背中ってそんなに学ぶもんあんの?


「……緋月、これは計算の内?」


葛葉とラグスのやりとりを眺めながら、立ち並ぶ二人はヒソヒソと会話をしていた。


「計算じゃ無いさ。ボクはただ『英雄』になりたいって言う弟子の背中を押しただけさ」

「……そう。あと、彼女にこの街を案内してあげてみたら?」

「転生者ちゃんを? なして?」

「まだこの街に来て二日だ。それにその二日間はずっと病室の中だっただから、この街について口頭で説明しても、実物を見なくては分からないだろう?」

「……確かに!」


思いつかなかった! と言わんばかりの顔で、緋月は手を当てる。


「今すぐにでも良い!?」

「私に言われても……彼女も賛成すると思うがね」

「じゃあ、街案内しますか!」


アホ毛をブンブンと犬の尻尾のように振り、葛葉を街案内に誘う緋月。そんな緋月の後ろ姿を見ると、自然と頬をが緩んでしまう葉加瀬だった。

読んでいただき、ありがとうございます!

面白いと思ってくれたら幸いです!

これからも面白い小説になるように頑張ります‼︎

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