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二話 遠慮なく、緋月、飲酒済み、何も起きないはずがなく

「いよぉし、なら! 今日は遠慮は要らないよ‼︎ ボクの奢りだい、精一杯楽しんでくれたまえよ‼︎」


 再び歓声が上がり、すぐさま冒険者達はおかわりのおかわりを注文し始めたのだ。

 緋月はもちろんのこと、葉加瀬や奥に居たギルド職員達も酒を手に持って乾杯をして、遅れて宴会に参加した。

 宴の盛り上がりはより一層増して、盛り上がっていった。


「やぁや、やぁや、葛っちゃん元気にちてたぁ〜?」


 すると葛葉達の下に緋月がやってきた。


「してましたよー。……緋月さん、太っ腹ですね。いいんですか?」


 先ほどの口上、緋月ならそうそうしない珍しい行動だった。そんな葛葉の問い掛けに、緋月は笑いながら答えた。


「君達の祝勝祝いだよー? 豪勢に、派手に、遠慮無くやるっちゅうもんでしょ〜!」


 あははと笑いながら机を片手で退かし、葛葉の膝に自然に座った緋月。両サイドに居た律と五十鈴が、その自然な振る舞いに感心したのか、「おぉ〜」と感嘆していた。

 緋月はお酒を飲みながら葛葉の手を自分の頭に乗せて、その感触を楽しむ。


「葛っちゃんと会えなかった分、今日からはずっと甘えるからね〜?」

「……節度は守って下さいね?」

「もっちのろんだよ! ……けど、今日のこの宴に限っては違うね、そうだろう君達」


 案外言うこと聞くなと思った矢先、雲行きが怪しくなり過ぎてゲリラ豪雨になってしまう。

 テクテクと葛葉から四歩程離れた場所で、緋月は振り返って、背後にいる冒険者達に確認するように声を掛けたのだ。


「……緋月さん、節度は?」

「………………葛っちゃん、今日は、遠慮無しだよ?」


 そう言ってバッと緋月が取り出したるは、黒色のバニー服……では無く"逆"バニー服だった。

 隠さなくてはいけない部分を全く隠さない設計、もはや服と言っていいのかすら疑ってしまう逆バニー服。それにプラスして、三枚のハート型のニップレスが取り出された。


「……いや、いやいや! 普通にアウトですって‼︎ 逆バニーでマイクロニキビでアウトなのに、ニップレスは間違いなくアウトですっ‼︎」

「いやいや、そんなこたぁないとも。きちんと人を救えるさ」

「それあんたと背後(うしろ)の野郎共だけでしょ‼︎ なんなんですか⁉︎ 私を痴女にしたいんですか⁉︎」

「葛っちゃんが痴女⁉︎ ふへへ、是非とも見てみたいなぁ、そぉしてボクが分からせてあげるよぉ〜‼︎」


 早速暴走が始まり葛葉は涙目で逃げ出した。

 するとシュババッといつもなら面倒事は避ける冒険者達が一致団結し、葛葉の逃げ道を潰した。主に男が。

 男性冒険者一人一人が、どう考えてもR-18な服ばかり手に持っており、葛葉のことをR-18専用着せ替え人形にする気満々だった。


「葛っちゃんの逆バニー姿が見たいんじゃぁい‼︎ くそ~、止まりたまえいい子だから‼︎ さあ‼︎  どこへ行こうというのかね⁉︎」

「ム○カの真似しないでくださいよ⁉︎」


 多方面に喧嘩を売り始めた緋月にツッコミたくなった葛葉が振り向くと、足を何かに引っ掛け、すってんころりんと転んでしまった。

 そして無慈悲にも性欲に支配された緋月含む男共は葛葉を囲んで服を着せようとした。

 がここで仲間割れ。葛葉の裸を見て良いのは、ボクだけだ‼︎ と叫び緋月が葛葉を脇に抱えながら、男性冒険者達を一掃してしまった。

 そして下心に塗れた目で葛葉を見やり、勢いよく葛葉の服を脱がすのだった―――。

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