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五十話 怖くても

(攻撃出来る魔法が欲しいッ‼︎)


 と思いつつ『八岐大蛇』の攻撃を避ける葛葉。銃が創造出来ない今、葛葉は否応なく近接戦闘をしなければならないのだ。

 手数は『八岐大蛇』の方が多く、葛葉はナイフ二本のみ。


(無理っ‼︎)


 勝てる訳ないと既に心は折れていた。が意志が挫けることを許さない。『八岐大蛇』を助けるまで、ずっと。


『っ⁉︎』


 真っ直ぐ一直線に居たはずの葛葉の姿が掻き消え、『八岐大蛇』は一瞬驚くが直ぐに辺りを見渡した。

 が葛葉の姿はどこにも無い。その時だった、グサッと肩をナイフで突き刺され、首にも同じようにナイフが刺さったのだ。

 ナイフを刺して来たのは葛葉だ。葛葉は直ぐに飛び退き距離をとった。


『……』

「ん〜再生、早い……」


 葛葉がナイフに付着した血を振り落とし、『八岐大蛇』の肩と首の傷を見ると、既に何事もなかったかのように傷が塞がっていた。


「近接も駄目そうなの……? 終わった……」


 遠距離は攻撃手段がなく、近接は超再生のせいで幾度攻撃しても直ぐに回復されてしまう。

 本当に終わっているのだ。勝ち目がなさ過ぎると言っても過言では無い。


「一か八か」


 ボソッと呟き葛葉は覚悟を決めた。

 ナイフを鞘に納め、手ぶらの無防備の状態で『八岐大蛇』に向かって走り出したのだ。

 葛葉の戦いを見ていた者全てが驚き、もちろん『八岐大蛇』も驚いていた。


(これで倒れたら、やばいな、私)


 この場の全員の命が掛かっているというのに、葛葉はなぜだか浮かれていた。

 重過ぎる責任のせいか、戦いの最中にドバドバ出てしまったアドレナリンのせいか。

 ただ葛葉が思うことは一つ、


(今の私ならやれる!)


 謎の自信だった。

 『八岐大蛇』の攻撃を全て避け、攻撃を時たまいなした。距離はどんどん縮まっていく。

 10から8、8から5、5から2。もう『八岐大蛇』は目の前だ。そう認識したと同時、葛葉の身体が宙に浮いた。


「っ」


 またしても影に囚われたのだ。


「うっ、ぐ……」


 強い力に葛葉は顔を歪めた。グググと音が聞こえ、次にはゴキンと身体から音が聞こえた。


「―――っ‼︎ ぁあ! うぅ……」


 右脚が逆方向に折れ、左肩が脱臼したのだ。痛みに堪える葛葉だが、頭の中に針を入れられかき混ぜられたかのような痛覚には、なす術なく無様に暴れ回るしかなかった。

 そんな見苦しい姿に呆れた『八岐大蛇』は直ぐに楽にさせようと、さらに力を込めた瞬間だった。

 目の前で閃光が起き、体が吹っ飛ぶのだった。

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