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十三話 世知辛な世界やで……。

どうも! あと一週間と一日で二ヶ月毎日投稿達成になる、んぷぁです!

図鑑を片手に森の中を彷徨う二人組の冒険者。

葛葉と律は、目的の薬草探しをしているが、全く見つからない。あったとしても、それは普通の薬草だったり、ただの雑草だったりで、葛葉も律も疲れが出ていた。


「ほ、本当にあんのか……?」

「図鑑見ながらでも見つかりませんね……」


葛葉が片手に草、もう一方には図鑑を持ち、図鑑に書いてある薬草の絵と持っている草を見比べる。

案の定目的のものではなく、ポイッとただの雑草を捨てた。

律も屈み込み、木の幹の近くに生えている草を似ていそうなものと、全く違うのとを分ける。


「もう一時間ですかね」

「流石に疲れてきた〜」

「お水入りますか?」

「おぉ〜ありがとー」


皮袋の水筒を律がリュックから取り出し、葛葉へ手渡す。この世界には、当たり前だが現世のような金属製の水筒は無い、だからキンキンに冷えた水じゃ無いのだ。

ゴクゴクと水を飲むが常温だ。日本だったら蛇口捻ねれば冷たい水を飲めれたが、化学という概念が存在しない異世界に来たのだから文句を言っても仕方ない。(気付いたらこの世界に来てただけだったが)


「……うぅ」

「どうかしました?」

「はぁ〜冷たいのが飲みたい」

「仕方ないですよ〜。まぁでも、水か氷の魔法が使えたら冷たいの飲めるんですけどね〜」


魔法は便利だ。その魔法を持っていればの話だが……。魔法とは一種の潜在能力、その人その人で魔法の種類、属性、攻撃系かサポート系か回復系かに分かれる。

この世界に産まれてくる人達は皆、一つだけはスキルと魔法を持っている。スキルを持っているなら明るい未来が。魔法を持っているなら更に明るい未来が。

そのどれもを持ってない人も少なからず居る。が、未来が閉ざされる訳ではない。ちゃんと普通の人生を歩めるのだ。逆に幸せかもしれない。

才能を持つ者、持たざる者。この二つには決定的な差があるのが事実だ。狩る側は持っており、狩られる側は持っていない。

持っていない者は抵抗をする暇もなく淘汰される。


「……本当に世知辛いな」


日本人達の場合は、殆どがチート級のスキルや魔法を持ってるらしく、淘汰も何も逆に返り討ちに遭い、淘汰される。

つまり、持っていれば強者ということ。

残念ながら葛葉も律も魔法は、まだ発現していない。

そう、まだなのだ。魔法はスキルと違い、資格を得た者にしか与えられない神のギフト。

冒険者の場合はLv.2になれば一つは手に入る。……が、その道はかなり険しく、途中で挫折する者も幾人か居るらしい……。


「Lvを上げるには、自分よりも強い相手と戦うこと。生死の戦いをしろってことか」

「葛葉さんはLvを上げたいんですか?」

「あぁうん。ほら、前にも言った弟子に追いつく為にね」


ラグスはLv.4。対して葛葉はLv.1。数字だけなら簡単に追い付きそうだが、その3という数の壁が高く、遠い。

走り続けてもゴールはそうそう見えてこない。それ程までに遠いのだ。

Lvの数値は経験とそこに至るまでの過酷さを示す、と言われる程だ。上級冒険者、Lv.5以上の冒険者は皆軒並み化け物だ。

彼らが皇国騎士団並みの、統率力、集団戦闘術、技術が有れば、魔王軍なんてデコピン一発でキャインキャインと言わせる程だという。


「はぁ、転生ボーナスもらってる奴等は苦労を知らなそうだけどな」


あれっ? また僕なんかやっちゃいました? 的なことをやってんだろどうせ。

現実世界でチヤホヤされないからって、異世界で偽りの力を振るう。なんて惨めか。


「さってと、本気出してちゃっちゃと終わ――」

「――葛葉さんっ!」

「……っ? な、何?」


小さな岩に座っていた葛葉が立ち上がり、目的の薬草探しに戻ろうと木に近づこうとし、律が大きな声で呼び止める。

ビクッ! と葛葉は肩を跳ねさせ、律を見る。そして、目を見張った。

カタカタと小刻みに揺れ、目は焦点が合わず彷徨わせ、十分に空気が吸えず過呼吸になり、自身の細い腕を抱き締めて怯えている。

人間、そこまで何かに怯えることが出来るのか。葛葉は律の異様な姿に唖然と立ち尽くすのみだ。


「く、葛葉さんっ。や、ヤバいです、ここはヤバいですよ‼︎」

「急にどったの? てか、何がヤバいの?」

「さっきまでは気付かなかったんですけど。この気配……私達なんかより何千倍も強い何かが、私達に敵意を向けてるんです」

「敵意?」


葛葉は、今自分達が居る草木が開けた場所を三百六十度視線を向かせ、敵意を向けてくるという存在を探すが、何も居ない。

動物の気配も魔獣の気配も。全ての気配が無いのだ。違和感を覚えるほどに。


(……? ――っ! そういや、この森に入って今まで、接敵したか?)


身に覚えが無い。ゴブリンもコボルトも小型の魔獣とも、何の生物という存在とあっていない。


(いや、接敵して無い。……そんなことがあり得るか? いや、あり得ない)


森での魔獣のと遭遇率は九十九パーセント。運が本当にいい人のみ遭わないのだ。

そして葛葉と律は運は良く無い。断言出来ることだ。

それなのに、かれこれ一時間以上この場に居るのに魔獣が襲い掛かってこない。何故?

いや、もう分かってるはずだ。この胸騒ぎ、あの時と一緒だ。嫌な事が起こる前兆……。

瞬間、莫大な魔力が波となって森全体を覆い、圧縮された魔力と濃度によって葛葉と律がたたらを踏む。

そして周囲からはモンスターの断末魔が。

空は鳥達が一斉に飛び立ち、快晴の空が黒色に染まる。


「うっ……い、一体、何が?」


酷い頭痛に目眩と吐き気、その他に耳鳴り等。立つ事さえ叶わない。

律もどうやら葛葉と同じようで、地面に両手を付き必死にツラいのを堪えている。

耳鳴りが徐々に弱まり、頭痛も目眩も吐き気も軽くなってきた頃、ようやく立ち上がれた。


「律っ! ……大丈夫?」

「は、はい……。でも……うっ! ……まだ頭痛と、少し目眩が」

「……そう。とりあえず今は休んでて」


どうやら、今動けるのは葛葉のみのようだ。

森も騒がしくなり、動物や魔獣達の――まるで何かから――逃げているような足音が全方向から聞こえて来る。

魔力がやってきた方向からは特に数が多い。魔獣は葛葉達を見つけたとしても、無視して逃げていく。

明らかに異常だ。森の奥で何かが起きた事が分かる。それに、この方向は鬼族の里の方向だ。

読んで頂き、ありがとうございます!

久々の葛葉&律だけのお話です。この二人の百合も書きたいと切に願っている今日この頃。

前書きに書きました通り、あと一週間と一日で二ヶ月間毎日投稿達成になります。(毎日じゃないのがちょっとばかし多いですが)

こんな、小説を書くのが初心者の、私めの作品を読んでくださってありがとうございます!

あと一週間と一日のも読んで頂くと、幸いです!

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