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四十七話 天照らす

「行きますよ、鬼丸様」

「……なんじゃ、お主。生きておったんか?」


 肩を掴んだ人物、それは手負いのスミノだった。

 ズリズリと鬼丸を辛そうに引き摺りながら安全な場所、先ほどまで葛葉達が居た場所まで運び始めた。

 鬼丸の「生きてたのか」にスミノは苦笑しつつ鬼丸に、


「これでもLv.6ですから」


 と口にするのだった。


「―――鬼丸は大丈夫、かな?」


 龍の死体の隣で引き摺られていく鬼丸を眺め、葛葉はホッと息を吐いた。

 そして周りの様子に目を向けた。

 苦戦はしているが目を覆いたくなるような状況ではなく人手も十分居る。それを確認した葛葉は、よしと気を引き締めた。


「すみません、お願いします」


 そして葛葉は近くの兵士に声を掛け、手順通り『八岐大蛇』の下に駆け出した。

 影の龍は東兵と冒険者に一任してもらい、葛葉は【英雄】らしく強敵と相対する。


「鬼丸は頑張ってたし、私も頑張んないと……」


 そうでもしないと後で何をやらされるか考えただけでも(たま)ったもんじゃない。と葛葉はナイフを握る力を強めた。


「『紅焔鎧ッ』」


 焔の鎧を纏い葛葉は駆け出した。それが戦いの合図だと言わんばかりに『八岐大蛇』が攻撃を繰り出してきた。

 影が葛葉へ飛んでくる、それらを持ち前の敏捷で避け続ける。


(飛んでくるスピードが速いっ)


 自慢の敏捷でもギリギリ避けれている程度、少しでも速度を落として仕舞えば葛葉は旧エ○ァの二号機のようになってしまうだろう。


「淡き焔よ、身を守る灼熱の大気を纏い」


 更にステータスにバフ掛けするために詠唱を始めた葛葉へ、『八岐大蛇』が詠唱を止めるためか影の量を増やし攻撃を激しくした。

 だが葛葉は『想像』をフル活用し『八岐大蛇』の猛攻を避け続けた。


「敵を焼き尽くす日輪の冠を」


 そうして葛葉の詠唱が完成した。はずだった、


「我は王、日輪の光が希望を灯す」


 だが葛葉の詠唱は終わらず続いたのだ。


「天を統べ、地を統べる、冠は今此処に。日輪の慈悲の(かいな)


 詠唱を唱えつつも華麗な身のこなしでずっと攻撃を避け続ける葛葉に、痺れを切らしたのか『八岐大蛇』の攻撃が大胆になっていった。

 影が一本一本飛んできていた攻撃が、影が飛んで空振りに終わったとしても、その影から無数の影が枝分かれするように飛び出したのだ。

 それらすらも避ける葛葉は、『八岐大蛇』と面と向かった。


「其れは咎人を救うだろう。『紅焔鎧―光冠(コロナ)―』」


 そして今度こそ本当に詠唱を終わらせた。

 頭の上に小さな冠が現れると、葛葉は(そら)に腕を伸ばし掌を向けた。そして、


「『天照らす』」


 ボソッと一言口にした瞬間、赤色の空から光が差してきたのだ。そして赤色の空が、元の青空に戻り始めるのだった。

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