三十三話 戦いの転換点
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「―――総員! 突撃ッ‼︎」
そんなミハヤの指示と共に兵士たちが駆け出した。雄叫びを上げ武器を構えて。
葛葉も律も同様に駆け出す。そんな愚直な兵士達を、睥睨する『八岐大蛇』は八属性を備える首で避けられない攻撃を始めた。
灼熱のブレスが、濁流が、雷撃が、暴風が、土砂が、兵士たちを飲み込んでいった。
だが強靭で不屈な兵士は立ち上がった。
「怯むな‼︎ 進め‼︎」
兵士は吠える、強大な敵に、祖国のために立ち向かうために。冒険者も吠える、死に急ぐ理由を前に、恐怖を押し殺すため。
葛葉も吠えた。今は吠えることしか出来ないから。
「葛葉よ!」
「っ、鬼丸!?」
鬼化した鬼丸が普通に話し掛けてきた事に驚きつつも、葛葉は鬼丸の目を真っ直ぐと見つめた。
「正気に戻ったのじゃな!」
「? それってどういう?」
「なんじゃ、自覚しとらんかったのか? 奴の技じゃ。相手に幻覚を見せたり、幻聴を聴かせたり……まぁ精神攻撃じゃな」
鬼丸の言葉に葛葉は先ほどのことを思い出した。
「そ、それって戦意を―――」
「折ることもできるのう。じゃが、うぬは既の所で帰ってきではないか。戦うのじゃな?」
「……当たり前!」
場の士気は最高潮で、このままならば勝利は目前だった。鬼丸が絶大な威力の攻撃をまたまたかました。
律と共に葛葉は『八岐大蛇』の攻撃を掻い潜り、『八岐大蛇』の足に深い傷を負わせた。
「っ、葛葉さん!」
だが『八岐大蛇』は攻撃の手を緩めない。攻撃は更に激化した。
律が叫び葛葉を守ろうと動き出すが、バッと二人の身体を覆う大きな影が飛び出してきたのだ。
そして灼熱の炎を防いだ。
「五十鈴さん‼︎ ありがとうございます!」
「お二人をお守りするのが私の使命ですっ‼︎」
ボロボロの身体で煤や泥だらけの顔で、痛みを堪えながらも五十鈴は律と葛葉を守った。
そんな時だった。葛葉達の足元に大きな魔法陣が展開されたのは。
それは葛葉達、人が作れるような魔法陣ではなく、既視感もあった。故にこの魔法陣の正体は―――。
「総員、警戒! 仕掛けてくるぞ‼︎」
ミハヤのその呼び掛けに全員が顔を上げるのと同時だった。三体いた『八岐大蛇』が一体へ戻り、再び全属性を束ねた光が作り出された。
だかその大きさは先ほど喰らった物とは比にならない。それは目の前にもう一つの太陽が出来たかのような大きさだった。
『八岐大蛇』は葛葉達を狙うのではなく、若干山に隠れている上、まだまだ数十キロはあるあの街に狙いを定めた。
「・・・ッ‼︎」
ゾワゾワと背筋をヤスリのような肌の怪物になぞられる感覚を葛葉は覚えた。
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