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二十三話 終わりの見えない戦い

 ギュッと五十鈴の手を律が握り返してきたのだ。

 五十鈴が律の顔を見ると、変わらず安堵の表情を浮かべていた。だが、五十鈴は律が「葛葉さんはそんなこと気にしませんよ」と言っている気がしたのだった。


 ―――そして現在―――。


「―――英雄殿! お願い致します!」


 刀を深く刺し込み傷を作ったミハヤが飛び退くのと同時に葛葉に声を掛けた。すかさず葛葉は走ってその傷に握り拳を突っ込んだ。

 するとその傷の中で何かが破裂した、葛葉の手諸共。

 葛葉が手を取り出すと中から煙が溢れ、葛葉の手は手首から先を喪失していた。


「また無茶をしおって‼︎」


 金棒で攻撃をしていた鬼丸が葛葉の手を見つめ憤慨した。先ほどからの葛葉の荒っぽい戦い方に腹を立てていたのだ。


「ちょ、集中しといてやぁ!? ウチが死んでまうやろ⁉︎」


 危うく鬼丸の攻撃に巻き込まれそうになった(にのまえ)が叫ぶ。連携がいい加減な二人とは違って、うまいこと連携しているミハヤと葛葉は『八岐大蛇』に順調にダメージを与えていた。

 だが激化する『八岐大蛇』の攻撃を避け続け、二人の疲労は相当な物となっていた。


「……近いうちに決着を付けないと、不味いですね……」

「ですが決定打が中々……」


 葛葉の言葉にミハヤは頷きながら刀を構える。

 鬼丸や一の攻撃や、葛葉の工夫された攻撃ですらダメージが入った様子がなく、このままではさらに長期戦となってしまうのだ。

 最初戦っていたところからはかなり移動しており、もうそろそろ出雲が見えてきてもおかしくない距離になっていた。


「魔力も……そろそろ」


 身体強化の魔法は魔力消費量が少ないのだが、長時間運用すればもちろんなくなる。

 魔力もそうだが、葛葉の場合スキル二つも使い過ぎているのだ。


(いつ倒れてもおかしくない……っ!)


 と思いつつもまた葛葉は『創造』を使った。


「英雄殿、来ます!」

「っ」


 膨れ上がる魔力に葛葉は顔を弾くように『八岐大蛇』へ向けた。すると一本の首が口を開け灼熱の炎を放った。


「どっせいっ‼︎」


 葛葉達が炎を回避していると、葛葉の危機に駆けつけた鬼丸が金棒を振り下ろした。

 何度も行われるそれに周りの地面はだいたい陥没していた。


「いつになったら終わるん、これぇ〜!」


 ミニガンをぶっ放しながら弱音を吐く一の元に着地した鬼丸は、ガンッと一の頭にゲンコツを見舞した。

 一は、ひぃ〜っと頭の痛みに表情を歪めてげんなりと肩を落とした。

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