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二十一話 死を告げる音

 キーン……そんな音が聞こえたと同時に血が噴き上がった。閃光の如く、一瞬で魔獣をバラバラの細切れにした律は、再び刀を構えなおした。

 キーン……またそんな音が鳴った。

 目に見えない攻撃が魔獣達を襲った。

 だがただ一方的にやられる訳にはいかない魔獣たちは、死に物狂いで律の姿を追った。

 一匹一匹、ズタズタにされていく。だが、魔獣は本能の赴くままに、律の首に食らいつこうとする。

 そして律が立ち止まった隙を見計らい魔獣が飛びかかった。


「―――あなたで最後です」


 だが襲いかかった先に律の姿はなく、砂埃が舞うだけだった。次の瞬間、目の前に首の無い魔獣の身体が転がった。

 目線が落ち魔獣は顔面を強く強打した。


「あとは……っ」


 魔獣は全て倒し終わったが、魔物はまだまだ健在だった。目の前で骸骨はカタカタと笑っていた。

 見るからに違う圧倒的存在感に律の冷や汗が頬を伝った。その瞬間、骸骨の手が律へ掴み掛かった。

 だがそれは空振りに終わり、律は骸骨から距離を取るように走っていた。

 律を逃さんと骸骨は追いかけようとした時、目の前から極小な何かが飛来した。それを自前の固い骨が弾いた、がその極小の何かに気を取られている隙に、律の接近を許してしまったのだ。

 キーン……という音共に骸骨の視界がズレる。ガクンと倒れるが直ぐに手を地面について体制を立て治そうと試みる。

 だがまたしてもキーン……という音が鳴ると同時に視界がズレ、ガクンと顔から地面に倒れてしまうのだった。

 コツコツと骨を踏み歩く音が響く。


「心臓がないあなたは、どうしたら倒せるんでしょうか……」


 刀を振り回してから切先を下に構えた律が光の無い瞳で骸骨の後頭部を見やった。


「頭……ですよね……?」


 そして律は刀を突き刺した。


「我流剣術『一輪斬り』」


 突き刺し引き抜いた刀を構え直してから跳躍し、一回転と同時に骸骨の頭を切るのだった。

 骸骨の赤い点の目は消え、真っ黒な眼窩に戻る。骨も崩れ砂粒となって風に乗っていく。

 夏草が解け消え、血の海となった広場が残った。


「……もう……限、界っ」


 律の意識が暗闇に呑み込まれ暗転していき、フラフラと揺れていた身体が倒れそうになった時。


「―――律様っ!」


 ガシッと強く抱き止められたのだ。そして切羽詰まったような声が聞こえて、直ぐに大量の足音が聞こえてきた。

 薄れゆく意識の中、半分だけ瞼を開けた律は霞む視界の中に五十鈴の顔を視認した。


「ぁ、五十鈴……さん。……私、やりました……っ!」


 掠れゆく視界の中、律は自分のやり遂げたことを五十鈴に自慢するのだった―――。

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