表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
547/749

十六話 戦い方は自由に

ギリギリセーフ

「―――凄まじいな」

「はぁ、疲れたぁ」


 残る帯状になった影を切り裂きながら、葛葉と鬼丸の連携を見ていたミハヤは感嘆の息を漏らした。

 その隣に着地して来たのは一だった。

 ずっと足止めを任されていた上に、大技の連発でスタミナも魔力も枯渇気味だった。


「葛葉ちゃん……えらい強うなっとんなぁ」

「一殿はたしか、彼女と会ってすぐに……」

「せやなぁ、すぐにここに派遣されたんよ〜」

「英雄殿は、会ったばかりの頃はどんな人物だったんですか?」


 ゴクゴクと魔力回復液(マナポーション)を一気に飲み干した一に、ミハヤは葛葉を眺めつつ尋ねた。

 ミハヤには年端も行かぬ少女にしか映っていなかった。だが実際は違った、現実は目の前の光景だった。


「会った頃やんなぁ。う〜ん、あん頃はえらい可愛かったわぁ〜。この世界に来てすぐやったからなぁ」


 と一が初々しかった葛葉を思い出し感慨に耽った。

 美しさ、美少女さは今も健在だが。


「誰かが面倒見やんと、あっさり死にそうやったからなぁ。んまウチは面倒見れなかったけどなぁ」


 主に見ていたのは緋月だ。


「今は、なんやろなぁ。……んー、戦い方がエッグいんよなぁ……」


 ふと目を向けると、鬼丸が『八岐大蛇』の攻撃を華麗に躱わしたり防いだりするのとは正反対に、避けられない攻撃を受け止め大怪我を恐れずに戦う姿は、鬼丸よりも狂戦士(バーサーカー)だった。

 怪我を負っても忽ちに怪我は治ってしまうのだ。


「スキル頼りになり過ぎてるんよね〜」

「……えぇ、それは、確かに危ういですね」


 葛葉の強力なスキルは、強力過ぎるが故にいつか足下をすくわれるかもしれない。一はそれが不安だったのだ。


「よし、行こか」


 (かぶり)を振って頭の中を一度綺麗にした。

 今やるべき事は不安を感じていることではなく、『八岐大蛇』を一刻も早く討つことだ。


「せやけど、こんな調子やと間に合いそうにないんちゃう?」


 『八岐大蛇』を決して街に到達させない。それが最低限の目標だった。移動速度が遅いため、距離はそこまで縮まっていないが、多少なりとも縮まっているのは事実。

 一時間半戦い続けているため、休息は必須だが、その場合足止めする者が居なくなるのだ。休息できない、早く倒さねばならない、そんな板挟みで、あったとしても。


「それでもですよ。一殿、負け戦のために我々が何百年もこの日を待ったと思いますか?」

「思わんなぁ」

「今日ここで終わらせる、その気概だけあれば十ニ分。我々は玉砕覚悟なのですから」

「ウチも生半可な気持ちでは戦わんよ? やるからには本気やろ」


 すっかり覚悟の決まっている二人は、殺気に満ち満ちた目で『八岐大蛇』を見た。

 自前の武器を構え、二人は葛葉と鬼丸と共に、『八岐大蛇』へ苦しい戦いを挑むのだった―――。

読んで頂きありがとうございます!!

面白いと思って頂けましたら、ブックマークと評価をお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ