表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
545/753

十四話 暇もなく

「……そろそろですね。スキルが使えるはずですよ」

「え……っ、ほんとだ」


 疑問を解消しようとスミノに声を掛けようとしていた時、スミノがそれを遮るようにスキルのことを言ってきた。

 スミノの言う通り使えるようになっており、忽ちに葛葉の全身の酷い怪我が治っていった。

 火傷も骨折も、何もかもが。そして風呂上がりのように清潔になった身体が、ボロボロになった戦闘服から露出していた。


「緋月様のために……写真を」


 ガサゴソとスミノは不穏なことを呟き懐に手を入れた。葛葉がぎょっと、スミノに目を向けて懐に入れている手を掴んだ。


「やめて下さい……」

「……ですが、緋月様のためにも」

「やめて下さい……ッ‼︎」


 顔を赤くさせ懇願する葛葉に気圧され、スミノは渋々懐から手を出すのだった。

 ホッと安堵して、葛葉は武器を『創造』した。せっかく時間をかけて組み立てた銃は、何処にもあらず、武器は『創造』するしかなかった。


「鬼代様、ご武運を」

「……はい!」


 何度目かの「ご武運を」貰って葛葉は『八岐大蛇』に向かって走り出した。

 スミノにはまだまだ聞きたいことがあったが、戦力不足な今、一秒でも早く戦闘に加勢しなくてはならない。葛葉は渋い顔をしながらも走るのだった。

 ―――『八岐大蛇』との戦いは激戦でありながら、拮抗していた。鬼丸が空中を陸地のように扱い、一が見事な槍術で『八岐大蛇』の攻撃を受け流す。

 そしてミハヤが長巻を用いて『八岐大蛇』の足を払った。ズシンと地響きが鳴り大地が揺れた。

 たった3人でも『八岐大蛇』は足止めすることが出来ていた。


「淡き焔よ、身を守る灼熱の大気を纏い」


 戦闘に入る前に葛葉は詠唱を紡ぐ。葛葉の身体が淡い光によって包み込まれ始めた。


「敵を焼き尽くす」


 ナイフを構え『八岐大蛇』に向かって、地面を踏み締め地面を爆砕させ、跳躍する。


「日輪の冠を―――ッ‼︎ 『紅焔凱(こうえんがい)光冠(コロナ)―』」


 葛葉の斬撃が『八岐大蛇』の『爀首』に大きなバッテンの傷を作った。葛葉の紺の髪に小さな太陽を模した飾りの黄金の冠が載っていた。そして地面に着地すると同時に、淡い光が赤いマントへと変わった。


「……っ」


 ピキッと走る痛みにピクッと葛葉は眉を動かした。スキルで怪我は無くせても、疲労は消えない。

 足や手、全身が疲労に喘いでいる。


「英雄殿!」


 葛葉が立ち止まっていた時、後ろから切迫したミハヤの声が聞こえた。声に気付き、周りを見回した時だった。

 『八岐大蛇』の影が大きく膨れ上がっていたのだ。

 その影の近くには『黒首(こくしゅ)』が居て、葛葉のことを見据えていた。影には魔法陣が刻まれており、少なからず魔力も感じた。

読んで頂きありがとうございます!!

面白いと思って頂けましたら、ブックマークと評価をお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ