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十二話 目覚めたら大怪我

遅れてすみません!

「―――ダメじゃ! この傷は……‼︎」


 途切れ途切れの声が聞こえていた。水の中で聞くような声が。


「うぬも休め、その傷を放置すれば、死ぬぞ」


 真っ暗闇のなか聞こえてくる声は鬼丸のものだった。切羽詰まったような声音で、余裕がなさそうだった。


「いえ、私は……」


 鬼丸の言葉に弱々しく答える起伏の無い声。その二つの声が聞こえたくなってしばらく経つと、後頭部に柔らかいものの感触がやってきた。

 そこで真っ暗闇な世界に光が差し込んだ―――。


「―――ッ‼︎」


 目を覚ました葛葉の目にいの一番に入ってきたのは、穏やかな顔で前を向いているスミノの顔だった。下アングルからのその顔を見て葛葉は困惑した。

 葛葉が動こうとすると、


「おはようございます、鬼代様」


 キリッとしたスミノの顔に葛葉が戸惑いながら顔だけ上げてスミノのことを見た。

 そして絶句した。身体の半分以上の面積に火傷を負っていたのだ。


「鬼代様、安静になさって下さい。お身体が凄いことになってますから」


 そのスミノの言葉と、自由に動かせない体と視界が半分しかないことに気が付いた。

 頭には包帯が巻かれていて、右腕と右足は包帯と枝で固定されていた。そして身体のほとんどが火傷を負っていた。服のほとんどが焼け焦げており、かなり際どいかった。


「えぁっ⁉︎ 私もっ⁉︎︎」


 怪我を認識した途端にやってくる激痛に顔を歪めながら、葛葉は自分の身体にある怪我の酷さに声を上げた。


(わたくし)よりも酷いお怪我ですから」

「うぅ……人のこと心配できる立場じゃなかった……」


 痛みに唸る葛葉がたははと笑みを浮かべ、『想像』を使おうとして。


(っ、使えないっ!?)


 今まで違和感なく発動させれていた『想像』が違和感が溢れていて、出来なくなってしまったのだ。

 何故なのかと思っていると、ふと思い付いたのだ。『想像』が使えぬのなら、『創造』は? と。

 手のひらを開きマガジンを『創造』する。……が、いつものようにマガジンは創造されなかった。


「……ご安心下さい。スキルの使用不可は後少しすればなくなります」

「あと少し……?」


 葛葉がスキルが使えないことに困惑している姿を見かねたスミノが説明したが、葛葉は疑問符を浮かべながら首を傾げた。


「スキルが使えないのは『八岐大蛇』の八つある首の一つ、『黒首(こくしゅ)』のブレスのせいです。その身体にある火傷を付けた犯人でもあります」

「これの……」

「その火傷は、言ってしまえば呪いでもあるのです」

「呪い……」


 スミノの言葉一つ一つに葛葉は眉間に皺を寄せた。

 痛々しい火傷は、確かに禍々しい雰囲気(オーラ)を放っていた。


「……スミノさん、あの時、何が起きたんですか?」


 キリッと声音も変え、記憶の途切れたあの場面を思い浮かべながら、スミノへと尋ねる。

 何が起きたのか、何があったのかを。

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