十一話 強固な守り
突き出された紙を受け取り数値の書かれた欄を見つけ、目がくっつきそうになる程の距離で見てみると。
そこには確かに異常な数値が記されていた。
サワが覚えている魔力測定器の最大測定値は500。この上限である500という数値は人が耐えられる数値の何倍も上だ。
「瞬間的な量が高いだけでありんすね……それなら一先ずは……」
紙面に書かれている文言を読み進め、高濃度魔力汚染の可能性が低いと知って、ホッと胸を撫で下ろすサワ。
魔力汚染とは、魔力によって空気や土地、自然の植生が変えられ、生態系すらも破壊されることを言うのだ。
だが安心しつつも一抹の不安を抱いていた。
(瞬間的言ーても、魔力計測器の出しよった値は約1500。どうな魔力抵抗を持っていても、戦線復帰は難しいでありんしょう)
高濃度・莫大な量の魔力を人が浴びると、魔力回路が乱され体内で魔力が溜まってしまうのだ。魔法を使おうにも使えず、内から圧迫されるような苦痛がその人物を襲う。
常人なら耐えられない。
紙を机に置いて、ふぅと一息ついたサワが遠い山間部を見つめて眉を寄せるのだった。
「増援はどうなりんしたか?」
「えと、順調に向かっているらしいです。ですが、山からの魔獣の討ち漏らしが多いようです……」
唯一の懸念がその魔獣達だった。
魔獣は個々の戦闘能力はそこまでだが、集団になると手に負えなくなってしまうのだ。
この街を守る兵の数も決して磐石の構えとは言えない。
「今のうちに結界を張りんしょうか。……回復術師、回復液は十二分にかき集めてくんなまし」
「了解!」
先ほどからその討ち漏らしが街まで到達してしまうことが多々あり、多いとなると万全の守りを築かなくては、残された住人に被害が出てしまうのだ。
サワの指示を聞き、ギルド職員はすぐさまギルド長室を後にした。そしてサワも同様に部屋を後にして、結界の準備を急ぐのだった———。
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