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六話 鎌鼬って可愛く描かれてるので、逆張りしたくなっちった

「おいおい、マジか……」


 アサヒのその呟きに振り返ると、数多くの『鎌鼬(かまいたち)』が迫って来ていた。

 一見すると可愛い容姿なのだが、その実攻撃的であり残忍な習性を持っている、最悪の魔獣だ。

 そんな大量の『鎌鼬(かまいたち)』が一斉に兵士たちや、冒険者に向かって襲いかかった。


「くっ……! すまん! 取りこぼしたッ!」


 目にも止まらぬ速さの『鎌鼬(かまいたち)』を斬り捨てたアサヒが、アサヒの剣技を避けた『鎌鼬(かまいたち)』の姿を見て、後ろに居るまだまだ先ほどの魔獣と戦っている者達にそう警告した。

 さらにその後ろには怪我人が集められていた。


「律様……っ!」


 怪我人を運び終わった五十鈴が前線に戻ってくると、『鎌鼬(かまいたち)』に向かって刀で斬りかかろうとしていた。

 だが一番早い一匹の『鎌鼬(かまいたち)』が律の刀と打ち合った。その時、ピキッ……パキンッ……と金属の罅が入り割れる音が鳴った。


「―――ぇ」

「……律様っ‼︎」


 律の刀が折れたのだ。

 すぐさま駆け付けて、盾で律を守ろうとする五十鈴だったが、『鎌鼬(かまいたち)』の攻撃のが早かった。


「うっ―――」


 ザシッと腹部に深く『鎌鼬(かまいたち)』の鎌が刺さり血を吐く律、だが『鎌鼬(かまいたち)』は容赦なく律を切り裂いた。

 『鎌鼬(かまいたち)』が通った後、律の身体から血が吹き出した。


「……ぅあ」


 ドサッと受け身すら取れずに地面に倒れた律。

 五十鈴は顔を青白くさせて律の下に駆け付け容態を見た。全身から血が溢れ、すでに出血量は大変なことになっていた。


「律様! 律様ッ‼︎」


 出血の酷い腹部を抑えつけ、五十鈴が必死に律に声を掛けるが、返事は返ってこない。そうしているとピクピクと指が動いたのだ。

 そして瞼がゆっくりと開いた。


「う……っ。五十鈴、さん……?」


「律様! ご無事ですか⁉︎」

 目を覚ました律に五十鈴がそう声を掛けると、薄らと微笑みを作って五十鈴を安心させるのだった。


「……っ、刀っ!」


 律が倒れる直前に壊れた家宝の刀。律が大怪我をしながらも探し出した。少し動いただけでもボタボタと尋常でない量の血が流れ落ちる。

 五十鈴が不安そうに眺める中、律は見つけた折れた刀を手に取った。


「か、家宝が……」


 錆びない折れない刃毀(はこぼ)れしないという家宝は、見るも無惨な姿となっていた。

 意気消沈気味な律だったが背後から脇に腕を通され、ガシッと羽交締めのように掴まれた。

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