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五話 連戦に次ぐ連戦とか、普通に無理だろぉ

「っ!」


 飛び掛かってきた魔獣を斬ると、またその先に襲いかかってくる魔獣が居た。

 すぐさま体体勢を変えて、魔獣の攻撃を交わし刀で真っ二つに斬った。


「……うっ。はぁ……はぁ……」


 刀を下ろして息切れしている律に迫る一匹の魔獣。バッと飛び、律の喉を噛み千切ろうとしたが、ドンと身体が空中で吹っ飛ばされた。

 そして近くの岩に後頭部を強打し、頭蓋が割れ、脳漿をぶち撒け、身体を痙攣させてから死に絶えた。


「―――律様、無事ですか!?」

「あ……は、はい。す、すみません……ずっと……刀を振ってるので……息が……」


 律の持っている刀は大きい方であり、日々の鍛錬があったとしても、連戦に次ぐ連戦では体力の消耗が激しいのは必然だった。

 周りの帝国兵達も息切れし、疲労を隠せないでいた。

 一方で五十鈴はそんな律達とは違い、息も切らしておらず体力はまだまだあった。


「―――なんや、みんな疲労が溜まっとるなぁ……。せやけど頑張ってもらうで‼︎」


 息を整える律の近くにやってきたアサヒが、律を含め周りの兵にそう声を掛けた。

 アサヒが通っていく道には魔獣の屍がゴロゴロと転がっていた。


「す、凄いですね……」


 アサヒの剣技を見る律がボソッとそう呟いた。

 たった一振りで五匹がまとめて細切れになり、適当に降っている様な一振りでも、魔獣の胴が真っ二つとなる。

 律は自分の手を見て、ギュッと悔しさを噛み締めた。

 自分もあれほど力があれば葛葉の役に立てるのでは、と。


「……ふぅ。よし、行きましょう! 五十鈴さん‼︎」


 息が整った律が立ち上がり刀を鞘から引き抜き構えた。闘志溢れるそんな律に、若干の戸惑いをしつつも五十鈴は微笑み頷いた。

 そしてすぐさま動いた。

 律はアサヒ同様に手当たり次第、目につく魔獣は全て切り裂いていく。逆に五十鈴は、目につく負傷者全てを安全な場所に避難させていた。


(数が減って来ている……‼︎ この調子なら葛葉さんの応援に行ける!)


 斬って斬って斬り裂きつつ、律は確かに減りつつある魔獣に希望を見出していた。

 怪我人は多けれど、魔獣との戦いでは死人はまだ出ていなかった。

 順調に殲滅していると、


「っ。―――伏せろっ! 冒険者ッ‼︎」


 前にいたアサヒにそう叫ばれた。咄嗟にその言葉通り伏せると、その上を風が通っていった。

 律は立ち上がり風が通っていった方を振り返ってみると、そこには宙に浮かぶイタチの姿があった。


「……っ、『鎌鼬(かまいたち)』!」


 推定レベル3の小型危険魔獣。その小ささ故に、攻撃を当てる難しさと、見失ってしまうほどの俊敏が相まって、数多くの冒険者を再起不能にすることから、こんな異名もあった。

 『冒険者殺し』と。

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