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一話 満月の昇る日

 ドゴンッ、そんな砲撃のような音と土煙が立ち込め、パラパラと崖の石片が地面へと転がり落ちて行った。


「あ、痛たたた……けったいなぁ、ウチの攻撃あんまし効いとらんて……どないなってんねん」


 崖に減り込み崖から出て、強打した臀部を摩りながら、擦り傷程度の『邪竜』を目にした(にのまえ)は不機嫌そうに愚痴を呟いた。

 離れた所に落ちている一専用武器、ミニガンを片手で持ち上げた。


「はぁ〜やから戦いとうないねん……。意味わからんて、この強さ……」


 全身から痛みがやってくるたびに、そんな思いを持つ一は、深く深くため息を吐いた。


「―――(にのまえ)さーん!」


 やる気の出ない一が遠い目をしていると、遠くから声が掛けられてきた。振り向くとそこには銃を持って駆けて来る葛葉と、ブレスに吹き飛ばされた鬼丸が居た。


「無事ですか!?」


 葛葉が一の直ぐ近くまで来ると、開口一番心配してくれる言葉なことに涙がちょちょ切れそうになる一だっだが、それを打ち壊すのは鬼丸だった。

 金棒を担ぎながらスミノ一人が頑張って相手している『邪竜』を眺めながら一に顔を向けて、


「何しとる、まだまだ元気じゃぞ、アイツ」


 早よいけと最後に付け足して、そう言って来るのだった。

 血涙が出そうになるが、一はどうにか腹の虫を抑えつけた。


「なんなん、アイツ。聞いてた『邪竜』とはえらいちゃうんやけど」

「ふむ……諸説あるのじゃが。『邪竜』は皆満月の夜が訪れる日だけ、元の能力やステータス(潜在能力)がかなりに上昇するようでな」

「はー、初耳やで、それ」


 鬼丸の説明を訝しむ一だが、至って真剣な顔の鬼丸を見て、それが緊急時に吐く嘘ではないと思い至った。

 実際に赤く染まった空に浮かぶのは薄らと見える満月だった。


「……っ、不味っ‼︎」

「んぁ⁉︎ 葛葉⁉︎」


 鬼丸と一が話していると、葛葉が突然走り出したのだ。二人は驚き、鬼丸が手を伸ばした。

 その視界の先、魔術師隊の目の前には『邪竜』の頭があった。魔術師隊が固まり動けないでいると、徐々に周囲の魔力が吸収され始めた。


「ブレスの次は火球か!」


 大きな丸い火の球が『邪竜』の口の中で生成され、魔術師達に向かって放たれる瞬間、『邪竜』の首に飛び掛かる二つの影があった。

 一つはもちろん葛葉で、もう一つは。


「―――っ、英雄殿⁉︎ 魔獣の方は⁉︎」

「ミハヤさん……‼︎ アサヒさんが任せろ! と」


 二人が『邪竜』の首に大きな裂傷を作り出し地面に着地すると、葛葉がここにいることに驚いたミハヤがそう尋ねるのだった。それに、葛葉は先ほどのことを思い返しながら答えるのだった。

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