八話 語尾になのだ、ついてるキャラも良いよね……
語尾の無理矢理感が……。
木々をモンスターを、全てを薙ぎ倒し進む一団。ゴブリンエリートが三十九に魔王軍幹部が一人。一国を二時間で潰せれる戦力だ。
「進むのだ!」
『おぉー‼︎』
一団の中央にいる金と紺のツートンヘアーの美少女が叫ぶと同時、全ゴブリンエリートが咆哮を上げる。
目指すは鬼族の里。そこに封印されていると噂のモノを取りに来たのだ。リリアルの独断だが。
「久々の戦なのだ! 気を緩めるな‼︎」
血に飢えた部下達に声を掛け、気を引き締めさせる。今から戦うのは、元戦闘民族の鬼族だ。
種族を一致団結させ戦争に挑めば、勝っていたのは鬼族だったろうと言われるほどに。
今くらいにはもう既に世界の三分の二を手中に収めていたはずだった。それを下らない欲に駆られた下衆共が自らの首を絞めたのだ。
「鬼人一人につき五人での戦闘を行え。さもなければ全滅あるのみなのだ」
元世界最強の戦闘民族対世界の三分の一を手中に収めている、魔王軍の戦いが始まろうとしていた。
「ふぇ〜疲れたヨォ〜」
「これが本来の業務だけどね?」
これから大激戦が繰り広げられるとは露知らず、仕事を終わらせ呑気にダラダラしている緋月に、声を掛ける葉加瀬。
日々サボりをしている緋月とは違って、緋月の合わせ二人分をやっている葉加瀬は、まだまだある書類仕事を片付けている。
「……はぁ、元の世界は楽しかった」
「テストとか宿題とかあるけど。それに元々受験生だったでしょ?」
「うっ! は、葉加瀬もうやめて! ボクのライフはもうゼロよ!」
「はいはい」
完全に緋月の相手をするのに慣れている葉加瀬は、緋月との会話を片手間に済ませ、相槌しか打たない。
これが緋月と会話をする時のコツだ。葛葉みたく、緋月のペースに持っていかれるとツッコミしか出来なくなってしまい、その間緋月はボケ続けては、こっちがツッコむの繰り返し。
会話の悪循環になってしまうのだ。
「はぁ〜誰かボクを癒してくれる可愛い女の子は居ないかな〜」
「……葛葉ちゃんはクエストだもんね」
「あの娘さえ居てくれれば、ボクは……ボクは……何でもできるのに……」
「――ダウト」
「早くない!? あ、わふっ‼︎」
緋月が最後まで言う前に、葉加瀬が疑いの眼差しを向け顔を顰める。
そんな判断が早い葉加瀬に、緋月は寝っ転がっていたソファから落ちてしまう。
「痛てて……もー」
腰を摩りながら緋月は膝立ちになり、テーブルの上に置いてあるコップを手に取った。と同時だった。ピキッとコップに罅が入り、中のお茶が罅から流れ出てしまう。
「……これは」
「ただの偶然だよ」
「理系ってほんとやだなー」
アニメとかである、不吉な予感を感じるみたいな顔をしようとして、葉加瀬が夢もないことを言い出す。
まぁでも、確かにこれはただの偶然なのかもしれない。でも、万が一にでも予感が当たってしまえば?
その結末は回避できるのか。
これは偶然なのか必然なのか。
定められた運命なのか、それとも自分で決める生き様なのか。緋月には分からない。ただ分かるのは、運命には逆らえないと言うこと。
「な、なんだコイツ……」
「つ、強え!」
三つの死体が後ろに転がり、満身創痍のエリートが戦慄し固まっている。武器を握る手は震えており、彼等が今目の当たりにしているモノがなんなのか。きっと悍ましいモノなのだろう。
血に塗られた白刃に、白い頭髪。返り血を浴び真っ赤に染まった着物。殺意に満ち満ちた鋭い眼孔。
「……鬼だ」
読んで頂き、ありがとうございます!
最近量が少なかったので、今回は多めで。
確認って大事なんですね。