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十九話 弾雨

「よくやったのじゃ、メイド!」


 邪竜近くの地面に立っている人影がスミノであることを視認してグッドサインを送る鬼丸。スミノは遠くの鬼丸へ一礼して次の行動に移った。


「はぁ……はぁ……、し、死ぬて……‼︎」


 鬼丸に抱き抱えられている、死を覚悟していた一は、一秒ほど前まで自分の居た場所に目を向けた。

 綺麗さっぱりに、スプーンですくったかの様に削り取られた崖の一部。青かった一の顔だったが更に深みが増した。


「ほれっ! お主も頑張るんじゃっ‼︎」


 一を降ろした鬼丸がガクガクと、足を生まれたての子鹿並みに震わせる一の背中をバンッと平手打ちした。

 下の方からはミハヤの号令がして直ぐに爆発音が数十回と鳴り響いた。


「も〜嫌やぁ〜あ」


 顔を顰めさせはぁとため息を吐いて、一はムッと顔を険しくさせ武器を構えた。

 グチグチと文句を垂れつつも、邪竜へ立ち向かう一に、鬼丸はニヒッと笑みを作った。


「時間はないんじゃからな、テキパキ行くのじゃ!」


 そう言いつつ鬼丸は金棒をナイフの様に扱い片手で持ち邪竜へフルスイングした。ガコンッ‼︎ という鋼鉄を鋼鉄で殴ったかの様な重たい音が響き渡った。

 鬼丸の視線の先には、邪竜の後ろっ側に陣取り魔法の詠唱をしている、魔導師隊が並んでいた。


「全く……うちは死にたくないねんけど、しのごの言っとる場合ちゃうか」


 その反対側、邪竜の真正面で武器を構える一は諦めの笑みを浮かべた。そして走り出した。

 崖から大きく跳躍し邪竜の八つの頭の上まで飛んだ。


「うちかてやる時はやるんよ! ―――穿て‼︎ 『無慈悲なる雨ヘイル・オブ・ブレッツ―――ッ‼︎』」


 一がそう言った瞬間、とてつもない銃声が起こるのだった―――。




 周りからは剣戟の音が絶えず聞こえてきている。そんな中でも、葛葉を含むその場の全員が、あの音を聞いていた。


「律! よそ見しない!」

「え、あわわ‼︎」


 銃声の聞こえて来る方向を向いていた律が、魔獣に噛み付かれそうになっていたところを葛葉が阻止した。


「すみません、葛葉さん!」

「気を付けてね、律は私にとって大切なんだから!」

「葛葉さん……!」


 戦場で、迫り来る魔獣をナイフで狩りつつ、律とイチャつく葛葉に。


「お二人共、そういうのは後でして下さい!」


 五十鈴が魔獣を撲殺して、頬を膨らませながらそう口にした。

 依然として魔獣の数は減らず、逆に増えていく一方だが、葛葉達が太刀打ち出来る程だった。他の冒険者達も順調に倒して行き、兵士達もそれは同じだった。

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