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十八話 英雄の判断

「戦おう。……戦ったら……死ぬかもしれない、撤退したら生き残れるかもしれない。けど、『八岐大蛇』は起きちゃった。このままじゃ、街の人達が危険に晒される。……だからさ」

「ま、待つのじゃ。……戦うと言うのか? あの怪物と」

「ここで死ぬか、後で死ぬか。二つに一つ、なら、私は」


 葛葉の言葉に目を見開いて露骨に驚く鬼丸。

 ゆっくりと葛葉の下へ向かって葛葉の顔を見上げた。


「わしは……っ! いや、よい。うぬの意思を尊重するのじゃ。……なんせうぬは、わしの大切な伴侶である前に【英雄】じゃからな……」


 葛葉に抱き着いて何かを言おうとした鬼丸が、言葉を詰まらせ言おうとしていたことを変えてしまうのだった。

 鬼丸の了解も得た葛葉はミハヤへ視線を送った。

 そして鬼丸の肩を優しく叩いた。鬼丸にはしてもらわなくてはならないことがあるのだ。一番危険なことを。


「聞こえたな! 各自配置につけ! その他は魔獣の殲滅だ!」


 ミハヤの指示を聞きつけた兵士たちが、冒険者たちが一斉に持ち場に向かい始めた。そんな中葛葉と鬼丸は目と目で通じ合い、鬼丸が深く頷いた。

 鬼丸だけその場に残り、葛葉たちは持ち場へ走っていった。


「わしの伴侶は、無茶振りがすごいのう。……さて(にのまえ)、それとメイド」


 鬼丸は呟きながら鬼丸の両隣を通り過ぎようときた二人の肩をガシッと掴んだ。


「えっ、ちょっと? な、なんなん?」


 肩を掴まれた一が困惑しながら鬼丸へ振り返った。

 メイド―――スミノは何か嫌な予感でも察知したのか、鬼丸の手を振り解いて逃げ出そうとしたが、叶うはずなかった。


「うぬ等はわしと共に、彼奴の足止めじゃ!」

「はぁ⁉︎ 本気で言っとるん⁉︎」


 一が鬼丸の指差す先にいる怪物、『八岐大蛇』を一度見て、鬼丸の言ったことに憤慨した。

 何度か偵察した時とは全く姿の違う『八岐大蛇』の強さは計り知れないからだ。


「文句言うでない、何簡単なことじゃ。わし等以外が魔獣を殲滅するまで耐えるのみじゃからのう」

「それが無理やて言うてんのや!」


 鬼丸の言葉に一は更に憤慨する。

 一の嫌そうな顔とスミノの物凄く嫌そうな顔を見て、鬼丸はため息を吐くと金棒を構えた。


「残念ながらのう、うぬらに拒否権はない様じゃぞ?」


 鬼丸の意味深な言葉に二人が、鬼丸の向く方へ目を向けると、そこには竜の顔があった。

 ジーッとコチラを凝視して来る八つの頭。一の顔が青くなり、スミノがフッと姿を(くら)ませた。

 パカッと八つの口が開き、各属性に魔力が変化していった。


「あ、ヤバっ」


 各属性に沿ったブレス攻撃が放たれる瞬間、邪竜の身体が地面へ押しつけられた。

 ドンッと地面に強く押しつけられた邪竜は呻き声を上げると同時に無差別にブレスを放った。

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