七話 最初のお話
たぶん、いつかこの章の五話から七話はテコ入れはいりますね。
「今までも多かったねん、あんたみたいな奴。目が見えるようにする言うて、結局は途中でうちを見捨てるような奴らやったねん!」
そんな少女の言葉にアサヒは強く否定することができなかった。実際に見惚れてしまった身であるため、口籠もりながらもどうにか言い返した。
「……わ、ワイはちゃう! 目は関係あらへん、顔もや。ワイは、目が見えんでも戦える秘密が知りたいんや」
今アサヒが一番気になっているのは、盲目の少女がどうやってアサヒ並みに戦えるのかと言うことのみだった。
さしものアサヒでも目を瞑った状態で高速戦闘は不可能だったのだ。
「秘密も何も……ただこの状態で戦い続ければええだけやん?」
小首を傾げそのようなことを少女はのたまった。
それができれば苦労はないと反論したくなったが、少女は本気の顔だった。
「……まぁええわ。ほんまに下心とかあらへんやろうし、うちも流石に一人じゃ限界もあるし。でも、あなた、軍人さんやろ? 旅なんて行けるん?」
アサヒの気持ちが伝わったのか、少女はアサヒの同行を許すのだったが、一つ疑問に思いアサヒへと尋ねて来た。
「ワイは自由人やからなぁ、有給申請しといたら平気やろ」
と軍人としてあるまじき発言を軽々と口にした。
そんな風に二人が話していると、一人の兵士がアサヒへと耳打ちした。アサヒが細切れの魔獣の死骸から降り始め、少女へと振り返った。
「ワイらは撤収や。次会う時は冒険者ギルドやからな〜!」
背中越しに手を振って去ろうとして、アサヒはふと聞いておかないといけないことを思い出した。
振り返り魔獣の素材を剥ぎ取っている少女の元まで歩き、あちゃーっと笑みを浮かべながら声を掛けた。
「忘れとったわ〜、名前聞いとらんかったわ」
そう言われた少女が、「あ〜」と呟き剥ぎ取りナイフをしまってから立ち上がり、被っていたフードを脱いだ。
「うちの名前は一。そっちは?」
「ワイの名前はアサヒ言うわ。気軽に呼んでもええで」
「なるほど、じゃあクソやな」
「おぉ殺すぞ〜?」
嘲笑気味に口角を上げてほざく一に、アサヒは刀を持ちながら笑顔で殺気を放った。
一触即発の雰囲気が漂ったが、アサヒはすぐに刀を仕舞いその場を後にしようとしたが、一が魔獣の死骸から素材を剥ぎ取っているのを見て。
「その素材高く売れたら、その金でワイの装備買ってな〜」
「死んじまえ」
冗談を言ってから部下と共にその場を後にするのだった―――。
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