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六話 馴れ初め〜?

ギリギリセーフ!

 ―――それから四十分後、細切れになった触手が無数に積み重ねられた山の上で、二人は背中を合わせ息を吐いていた。


「疲れたわぁ〜」

「誰かさんのせいやんか」


 二人共所々切り傷があるのは魔獣の牙での攻撃のせいで、斬り合っていたからでは決してなかった。


「あんた名前は? 冒険者とちゃうんか?」

「……うちは。そう、やね。うちは一、この国は来たばかりの冒険者」


 背中越しに二人は顔を見合った。


「冒険者にこんな強い奴がおるとはなぁ。ワイとやり合える奴なんてそうそう居んのに」

「嘘乙、あなたは弱い」


 と刀の扱いには自信があるアサヒに対して、外套の人物はバッサリとそう言い切った。

 アサヒが弱いと言われ、ポカンと口を開けたままでいると、直ぐに怒りが込み上げて来たのだ。


「ワイが弱いやと⁉︎ お前の目は節穴か!」

「ちゃうわ! 事実を言ったまでや!」


 睨み合いから取っ組み合いを始めた二人のことを、雲で遮られていた月が淡く照らした。

 同時に少しばかり強い風が外套の人物のフードを剥がしていったのだ。バサッと顕になる外套の人物の顔。

 すると兵士たちがざわつき始めたのだ。


「……目、開けれへんのか?」

「……。関係あらへんやろ……」

「いや、あるわアホ。お前がその状態で戦ってたんやったら、ワイの負けやろが」


 とアサヒは瞼が窪んでいる目元を見ながら冷静にそう言うのだった。

 「はぁ」とため息を吐き、やめだと思いつつこの場を後にしようとした。


「ワイもまだまだやな。……なぁ、旅は続けるんか?」

「……え、あ、あと少しは」


 少女は少し困惑しながらも素直に答えるのだった。

 それを聞いたアサヒはフッと笑い刀の塚を握った。


「朗報や、その旅、ワイも手伝ってやんよ」


 そんななんの変哲も無いようなことを言ってのけたアサヒに、少女はみるみるうちに顔を顰めさせた。

 そしてフードをかぶっては、キッとアサヒを睨め付けて来たのだ。


「どうせうちの顔目当てやろ!」

「な、なんやと⁉︎ なんでそうなんねや!」


 と急な発言に対してアサヒも少し語気を強めて言い返すのだった。

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