三十六話 モシン様、最高
―――銃声が鳴り響く中、葛葉は丁寧にモシン・ナガンを組み立てていた。
スキルと葉加瀬のおかげか、すんなりと組み立てることができており、葛葉は心の中で葉加瀬に感謝するのだった。死にそうになる程に頭に叩き込まれた甲斐があったと。
「……少し改造しちゃお」
バレルを取り付けている途中に、葛葉はほんの少し物足りなさを感じて、バレルに細工をするのだった。
葛葉の考えている改造だともう一度初めから組み立てが必要になるが、葛葉は「火力が高ければ高いほどいいか」と改造を始めてしまうのだった。
とりあえず葛葉はモシン・ナガンでも338ラプア・マグナム弾を撃てるように、二十分程時間を掛けた。
「いい感じかな」
そしてお次はラプア・マグナム弾の反動を抑える機構を作り始めた。338ラプア・マグナム弾の威力は絶大であり、かの有名なバレットM82の口径の次くらいには高威力な口径である。
それ故に反動が凄まじく、歩兵銃としても運用されるモシン・ナガンで立ちながら撃って仕舞えば、肩が脱臼するか、しなくとも当分は撃てなくなるだろう。
「ここは異世界で……私のスキルがある……」
前世では実現不可能なことが、この世界では可能なのだ。だがそれを可能にさせるには必要な物があり、今この場にはないのだった。
葛葉は逡巡の後に椅子から立ち上がり、その足りない物を調達しに行くのだった。
「あるかな〜」
オリアの街では無かった代物のため、葛葉は少しばかり不安に思いつつ、調達しに行くのだった―――。
―――あった。ギルドを出て右に二十歩歩いた突き当たりを右に曲がると、堂々とお店が立っていて、すぐに買えたのですぐの戻って来れたのだ。
「同志? どこに行っていたの?」
「足りない物の買い出し」
「お金掛かるんじゃん……」
葛葉が買い出しに行っていたことを伝えると、アーシャはやっぱりと呟いた。
懐から財布を取り出そうするアーシャを見て、葛葉は慌てて言い訳を探した。
するとパッとすぐに良さそうな言い訳を思い付いた。
「これは私の勝手なことだから平気平気、本当にお金は要らないよ……!」
アーシャは葛葉の言葉に不服そうに渋々と頷くのだった。
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