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三十五話 すべての同志

コミーは悪い考えではありません!(洗脳済み)

 ―――飛んで三日後―――。


 カチャカチャと組み立てをしている葛葉の背中を、誰かがトントンと叩いてきたのだ。


「お久しぶりです」

「……アーシャさん?」


 振り返ってみるとそこには、この間より少し肌艶が良くなったアーシャが立っていたのだ。


「さんは必要ないです、アーシャと。そう呼んでください」


 さん付けは要らないと口にしながら頭を振るアーシャ。その言葉に葛葉は、ただ「はい」と顔を縦に振って微笑んだ。


「……そ、それよりも。それは……」

「え? あぁこれですか? これは私好みにパーツを弄ったM4ですね、原型と比べたら全く違いますけど……」


 手に持っているM4だった物を撫でながら葛葉はそう答えた。すると、バッと葛葉の肩を掴んで、葛葉の目を凝視し興奮気味にアーシャが口を開いた。


「じゅ、銃が作れるんですか⁉︎」


 現代人なら普通の反応。銃好きとしても普通の反応のはずなのだが、今のアーシャの反応は葛葉にはそう見えなかった。

 額をくっ付け、逃がさないように肩をガシッと、掴み方を変えたアーシャが、更に顔を近づけて一言。


「モシン様も作れますか……?」

「……? あー」


 "モシン"という言葉に少しばかりか理解が追いつかなかった葛葉だったが、アーシャの格好を思い出して、すぐに合点が言った。


「……一応作れますよ。ただ、そのまんま造ることは出来ないですね……。部品を組み立てていかないと」

「作れるんですね!? ……あぁ、同志よ」

「え、はい……」


 圧が増し、危険思想に侵されたアーシャの頭に多少引きながらも、葛葉は首を縦に振った。

 『創造』で作れるのは銃器を含めた、すべての物体であるが、作れる物が限られているのだ。今の葛葉が作れるサイズのはSMG(サブマシンガン)程のみだ。

 故にM4も一から組み立て改造を施して今の形になっているのだ。


「二時間くらいかな」

「早っ……お金ならいくらでも払います、モシン様を作って下さい!」


 葛葉の『創造』と『想像』があれば、モシン・ナガンくらいならば直ぐに造ることができる。モシン様と呼ぶほどモシン・ナガンを好いている者ならば泣いて喜ぶだろう。実際、アーシャは半泣きだった。

 グイグイ押してくるアーシャの身体を押し返して、葛葉は唸りながら口を開けた。


「んー、いいけど……。お金は要らないよ」


 スキルで部品等を造るためお金は一切かからないのだ。お金を払われても逆に困ってしまう。

 葛葉の言葉に首を壊れたように振るうアーシャ。それを見て葛葉はすぐに作業に取り掛かろうとして「あっ」といいことを思いついた。


「出来るまでは、銃の練習でもしてる?」


 と『創造』で一丁のハンドガンを造った。

 光が霧散すると同時にアーシャが葛葉へと抱き着いてくるのだった。

 「え、え?」と葛葉が困惑しているのもお構いなしに、アーシャは葛葉の耳元で、囁いた。


「同志!」


 葛葉が作った銃―――1951年に|ソビエト社会主義共和国連邦《ソ連》の軍に正式採用されたハンドガン、マカロフだった。

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