四話 秘められし力
読もうと思っていただき、ありがとうございます!
この度、名前を変えました! 覚えてくれたら幸いです。
「私の名前は葉加瀬、月島葉加瀬だ。葉加瀬と呼んでくれ」
「はい、お願いします」
「……そんな畏まる事はないよ」
葉加瀬さんはそういい、苦笑をする。その笑みは、葛葉には何故か自嘲しているように映った。
「さて、まずは冒険者という職業の説明からだね。冒険者とは、人類に害を与える魔獣、まぁモンスターなんて呼ばれ方もするが、その魔獣を倒すことを生業とする人達だ。ここまでは分かるよね?」
「はい!」
葛葉はテンションが上がり、葉加瀬の話を食い入るように聞く。
「ただ、魔獣と戦う事は命を落とすかも知れない。冒険者は常にした瀬戸際なんだよね。そこで、当ギルドは冒険者のための保険を実施してるんだ」
葉加瀬はそう言い、机の上にあった紙束から一枚の紙を抜き取り、葛葉の目の前に置く。
「……討伐クエスト時に再起不能な怪我を負った場合、百万フェルを当ギルドが払い、その後の手当を最大限する。……保険が凄いですね」
「これを考えたのは緋月だからね。あぁ、あとそのフェルってのは日本の円と一緒だよ」
「じゃあ、百万円貰えるって事ですか?」
「再起不能な怪我でね」
というか、ここってギルド支部なんだよな。そんな金は一体何処から?
「他にも……」
数時間後
ソファにぐで〜っと蕩けているように寄りかかる葛葉。長時間喋ったのにも関わらず、葉加瀬さんは疲れた様子もない。
「冒険者になったらギルドの手厚いバックアップがある。だから安心して冒険者になると良い。だけど、スローライフやらがしたいなら冒険者にならなくて良いけどね」
「あぁ、大丈夫ですよ。過労死じゃないんで」
スローライフなんて言葉を使ってる割にはあれ、全然スローなライフを送ってねぇから。それに俺の死に方は、トラックに撥ねられて死亡だからな。ありきたりでも、これはチート主人公になれるんじゃ!?
「冒険者になるのかい?」
「はい! なります‼︎」
ふっふっふ、ゴブリン戦では開花しなかったチートが、冒険者とか、何かの拍子に開花なんて多くのラノベで読んできたんじゃ。
この世界で俺は、俺TUeeeeeeするんだ‼︎
「じゃ、早速冒険者登録をしてもらおうか」
「はい!」
「えーと、このカードの上に手を置いてね」
葛葉は言われた通り、目の前に出されたカードに手を置く。そして暫くし、
「……じゃ、手を放していいよ」
カードから手を離す。すると、カードが白く光だし、文字が刻まれていく。
「おぉ〜」
「あと一分くらいで登録できるからね〜」
……ゲームのアカウント作りかな? そして一分後。
「はい、これで正真正銘冒険者だよ」
光が弱まり、文字が刻み終わる。葉加瀬は、カードを手に取り、カードに書かれている文字を読む。
「……これは驚いた」
「えっ!? なんか凄いチート能力が!?」
「転生者なのに、チートスキルとか能力が一切無いなんて」
カチンと、葉加瀬の言葉を聞いた葛葉は一瞬にして石像となってしまった。
バタンとソファに倒れ、目から水が溢れてくる。これは一体何なのだろうか。前の世界じゃ、周りの人には恵まれたが、才能には恵まれなかった。定期テストの時だってそうだ、駄目駄目な自分でも頑張れば良い点が取れると、妄想していたが。
現実とはこうも悲惨なのだ。
「……あ、でもチート能力では無いけど近いものはあるよ」
「―――マッ⁉︎」
石の殻を破り葛葉は元に戻る。そして葉加瀬の手元にあるカードを覗き込む。
「……『英雄』?」
「……ぷっ」
「…………笑いました?」
「い、いや……すまないね……いや、しかし……ふふ」
何だこのスキル。中二病かよ……。スキル名の下に書かれている、このスキルの能力に目を通す。
「……ふむふむ、自分のLvより高いLvの敵との戦いにおいてこのスキルが発動する。発動内容は、ステータスの上昇、勝率が敵のLvの数値と同じになる」
見た感じは強い……のか? なんか、ロマンっぽいな。最後の文が特に。
「……ふぅ。……君のスキルは全体的に攻撃に特化していないね。この『英雄』ってスキルも攻撃スキルじゃないし」
「チート主人公達って強力なスキル持ってますよね」
「ハズレを引いたかもね」
くっ……こっちでもか!
「……ん? 葉加瀬さん?」
「これは……?」
葉加瀬はカードをまじまじと覗き見る。
「チート能力にまたまた近いのがあるね。スキル【創造】」
「想像?」
「そっちのじゃないよ。いや、一応はあってるが」
「一応?」
「スキル【創造(想像)】。……かなりのスキルだけど」
なんか強いのかな?
「Lvによって造れるのが制限されるようだね」
「ほえ〜……自分のLvって?」
「1だね」
「……造れるのは?」
「片手で持てるぐらいのものみたいだよ」
全然チートじゃねぇ!片手で持てるものって絶対戦ってる時に使えな………あれ? 待てよ?
「そのスキルってもう使えるんですか?」
「ん? あぁ、使えるよ」
「早速使って良いですか?」
「構わないよ」
どういう風に使うかは感覚でわかる。普段当たり前にやってる事のように、呼吸をする事のように。
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