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二十五話 念願の?

「ん〜ご臨終かな」


 そう葛葉が口にした直後、ガタン‼︎ ドタン‼︎ ガン! ゴン! ドン! と大きな物音が響いて来た。


「コレも多様性……か」


 目を瞑りながら変な納得をして、葛葉はあの青年を探し始めるのだった―――。


「―――んやねん!」

「なんやその反応〜。ワイに会えて嬉しくないん?」

「んなことあるかいな、ドアホ!」


 あの青年を探し続けて三千里、遠くのおある場所から聞こえてくるその声に葛葉は顔を輝かせた。

 声の聞こえてくる方へ、スタスタと早歩きで向かった。その最中でも、二人の声は聞こえて来ていた。


「はぁ〜昔は可愛かったんやけどな〜。こんなカリカリしもうて」

「うっさいわ! なんべんも言うとるやろ、ウチとあんたは何の関係もあらへんわ!」


 ヒートアップする二人の声。やっとこさ声の漏れ出す場所に着いた葛葉は、扉から顔を覗かせ中を見やった。

 どうやらこの部屋は『休息・休憩専用室』らしく、かなりの広さなのだが、部屋の中には声の主の二人と、もう一人しか居なかった。

 漏れ出してくる空気がかなり居心地悪いため、当然かもしれないが。


「ウチはもう行くさけ、着いてこんといてや!」

「待てや、話はまだ終わっとらんで?」

「知らんわ!」


 一が立ち上がり青年の静止も振り切って、別の扉から出て行ってしまった。

 感情的な一と違い、青年は至って冷静で、淡々としていた。


「……副隊長〜。しつこい男は嫌われますよ?」


 ため息を吐き、背伸びをする青年にずっと黙りこくっていた少女がやっと口を開いた。


「阿呆、ワイはしつこくあらへんねん。ただ心配やねんで、あいつが」


 冷たい声でそう口にする青年。

 今までの薄っぺらい上っ面だけの声ではない、心の底からの本音が込められた声。


「心配であの態度って……副隊長はガキですか?」

「がはは、シオリちゃんは言葉が強ない? 的確やし、えらい心にきたわ〜」


 少女―――シオリの言葉に笑った青年は、自分の胸をトントンと叩き、心にきたアピールをするが、シオリは無反応だった。


「……ほんで、ずぅっと覗いとる悪い子ちゃんは、出てこよかー?」


 突如青年が振り向かずにそう口にした。葛葉は多少なりとも驚いたが、素直に部屋の中に入っていった。


「ん? あぁ、あん時の子か。なんや、ワイに惚れたんか? ワイもこないにかわええ子なら、文句あらへんわ〜」

「あー……そうじゃないです」


 青年に向かって歩く葛葉は、少しの思考の後にはにかみ苦笑を浮かべながらそう口にした。


「んでや、ワイに何用や? 英雄はん」

「……大したことじゃないです。ただ、一さんとどんな関係なのかなと」


 本当に大したことない葛葉の質問に、二人はキョトンと面食らった表情を浮かべた。

 そして青年が笑みを堪えきれずに、大笑いし始めたのだ。

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