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二十一話 モノホンとの遭遇

遅れてすみません!

「ふぁ〜隊長。ワイも休息取ってええん?」


 糸目の青年がその場に残り、欠伸をしながらミハヤへギルドの奥をチラ見しながらそう尋ねたのだ。


「ああ構わない。お前もちゃんと休むと良い」

「はいよ〜……て、あ〜れ〜?」


 ミハヤが許可すると青年が手を上げ振り返ってゆっくり歩き出し、一の横を通り過ぎようとした時だった。

 大きな声を上げて一の顔を覗こうと姿勢を低くする青年に、一が拳をピクピクさせながら舌打ちをついたのだ。


「にのちゃんやんけ〜、なんや来とったんか〜」

「それやめ言うとるやろが! 学習能力ないん⁉︎」


 馴れ馴れしく一を呼ぶ青年に、一は怒りを爆発させながらそう言い返した。


「なんでや〜? ワイとにのちゃんの仲やろぉ〜?」


 疑問符の後ろにwを付けながら一を揶揄う青年。

 一の右隣に居た葛葉は、一のいつもと違った雰囲気と語気に目を点にさせていた。


「仲ってなんやねん! ウチとは何の関係もあらへんやろ!」


 次々と火の付いた爆弾を投下する青年に対して、一は必死に火を踏み消すように捲し立てた。

 ふと葛葉が周りを見てみると、ミハヤはため息を溢しており、サワは初々しいカップルを見るような目で眺め、冒険者が眉間に皺を寄せ頭を悩ませるようにため息を吐いていた。


「早うあっち行かんかい!」

「阿呆! 何蹴っとんねん! トカゲ討伐の前に怪我したらどないすんねん⁉︎」

「阿呆はそっちや! 活躍なんか出来ひんやろ!」


 やいのやいのと大声で言い争う二人。

 サワが少し勿体無いみたいな顔をして、二人の下に向かい始めた。

 指を差し合ってたのが、終いには顔がくっ付きそうな距離で言い争い始めた二人の間に、サワがぬるりと入って、


「もう時間がありんせん、もうそろそろ、痴話喧嘩はやめてくんなまし?」


 と二人を手で止めて、少しだけ威圧した。


「っ。……す、すんません」

「はは〜、二度とすんなや〜!」


 止められた一は大人しくサワに謝ったが、青年の方はにししと笑って、最後の最後まで一を揶揄ってから、逃げるようにギルドの奥へと去ってしまった。


「なッ……あ! 逃げんなや阿呆、おたんこなす! バーカ‼︎」


 逃げる青年の背中に子供のような暴言を浴びせ、一は頰を膨らませた。


「さて、気は済みんしたかえ?」

「あ……は、はい」


 周りの視線に気が付いた一が顔を紅潮させ、縮こまり顔を俯かせ静かに返事を返すと、サワはすぐに作戦会議を開くのだった―――。

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