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十七話 エセとの遭遇

「凄いって思われたいからね」


 そう言って微笑む葛葉。ズキュゥゥンと律は、自分の何かが射抜かれた気がし、律は自分の頰が紅潮していくのを自覚した。

 パッと顔を背けて驚きまくる律。

 いつも通りの葛葉だった。いつも通りの顔だった。なのに、葛葉の顔を直視できなかったのだ。


「ん?」

「……はぁ」


 律のその行動に葛葉はまた疑問符を浮かべ、五十鈴が律の恋煩いが酷くなっていることにため息を吐いた。


「―――葛葉ちゃんやないの〜⁉︎」


 と三人が歩いていると背後から、のほほんとしていて何処か余裕のない関西弁風の声が掛けられた。


「っ」


 葛葉がその声の主を思い出して、バッと勢いよく振り返ると、そこには処女雪のように真っ白な長髪の美少女が歩いて居て、手を大きく振っていた。その隣には遠目でも眉目秀麗と思えるメイドも立っていた。


「久しいね〜いつぶりやろか〜」


 徐々に距離を詰めて来て、美少女は葛葉の頭を撫でた。愛おしそうに、優しくナデナデと。


「一……さん……?」

「そやよ〜、うち以外にこぉんな美少女が何処におんの〜? ……でもほんまにお久やね、葛葉ちゃん」


 それは随分前に会った……否、今の葛葉は出会っていない懐かしい人物。『葛葉』の記憶で、最初の頃、大変お世話になった人物。

 途端に居なくなって、『葛葉』も心のどこかで気に掛けていた人物。

 Lv.6の上級冒険者、(にのまえ)


「お久しぶりです、鬼代様」


 その隣のメイド、表情筋を摘出手術したかのようにピクリとも動かない、とても無愛想なオリアギルド支部のメイド長、スミノ。

 とても久しぶりでとても懐かしい二人だった。


「スミノさんも……」


 二人の再会に葛葉が少しだけ喜んでいると、話に置いてけぼりにされている律と五十鈴に気が付いた。


「あぁ、二人は知らないよね」


 二人に向き直って一とスミノの間に入った葛葉が、二人の紹介を始めた。


「……この人達はかなり前からここに派遣された、一さんとスミノさん。この人達は私が冒険者になったばかりの頃にお世話になった人達」


 よろしゅうなぁ〜と手を振りながら微笑む(にのまえ)、無表情で常にやる気のなさそうな目のスミノは無反応。

 葛葉はスミノのその姿に苦笑した。


「なんや〜葛葉ちゃんにも、お仲間できたんやね〜」


 二人の顔をマジマジと見た一が、ツンツンと葛葉の腹部を突きながら言ってくる。


「葛葉ちゃんと同じで、二人ともめんこい子やわ〜、ほな三人共うちのお嫁さんになろか〜!」


 どこかの馬鹿ギルド長と同じような事を言い出す一の頭を、葛葉はいつもの癖で優しく叩いた。緋月から常にされているからか、二人もさほど気にしいなかった。

 (にのまえ)はあたた〜と頭を抑え口を緩ませるのだった。

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