十五話 ご両親に紹介を済ませて
これってもう結婚の意思を、二人に認めてもらうってこと!?
まぁ、葛葉はまだきちんと名乗っていないので、海斗の遮った尋ねは、ちょうど良かった。
「私は……律とパーティーメンバーをさせてもらってます。リーダー? の鬼代葛葉です。……こちらが私たちのパーティーの生命線、五十鈴です」
葛葉は海斗に向かって丁寧に自己紹介をして、隣に座っている五十鈴もついでに紹介した。
五十鈴が姿勢を正して海斗へ向き直った。
「お初にお目に掛かります、葛葉様のパーティーメンバーでタンクを務めている、五十鈴と申します。……あとメイドを」
綺麗な作法・所作で自己紹介を終えた五十鈴に、海斗は顔を縦に動かしていた。
「……そして、これがパーティーメンバーの鬼丸です。多分バーサーカーです」
葛葉の膝を枕にして眠りに就く鬼丸を抱き上げ、海斗に顔が見えるようにして紹介する。
葛葉は鬼丸の冒険者カードをあまり見たことがないため、鬼丸の職業がなんなのかは知らない。
知ってるとしても葉加瀬くらいだろう。
三人が自己紹介を終わらせると、海斗が口お抑えたのだ。そして、
「うっ……こんなに良い娘達が……律のパーティー、メンバーに……ぐすっ。……なってくれるなんて」
嗚咽しながら喜びはじめたのだ。
「お、お父さん、恥ずかしいよぉ!」
葛葉達の顔をチラッと見た律が、慌てて海斗の肩を揺らしながら、海斗の行動をやめさせようとした。
が海斗は律のそんな懇願には動じずに、嗚咽混じりの歓喜を続けるのだった。
(それにしても、すご……)
そんな微笑ましい光景を目にしつつ、葛葉は心の中で呟きを溢した。
(律が美少女の時点で大体察しは付くけど……それにしても美男美女過ぎな気がする……)
海斗と凛楓の両方を一瞥した葛葉は、んぅ〜と小さく唸った。
律が美少女なのは周知の事実だ、だがその親達もとても美しかった。
凛楓は律とテラ似であるが、少し違う部分もあった。律とは違って鋭い目や、感情が死んでるかのような表情。違う部分はこのくらいだろう。
そして海斗、律と似ている所は、まぁ少ない。目や髪色、表情豊かな所くらいだろう。
だがイケメンなうえ、甘いマスクでもある。前世なら間違いなくアイドルをやって居そうな顔だ。声も優しくて、女性を堕とすなら間違い無くこの声だろう。
(……ん〜まぁ、『葛葉』さんもまぁまぁなイケメンだったし、そんなにかな。五十鈴も平気な顔してるし)
判断材料としては弱いが、五十鈴が惚れて居ないのならそこまでだろう。
「うっうっ、…………う? ちょっとまって、もしかして君って日本人?」
嗚咽混じりの嘘泣きをしていた海斗が、ふと真顔になり目の前の葛葉に、葛葉も思ったことを聞いて来るのだった。
読んで頂きありがとうございます!!
前書きは気にしないでください。
ですがまぁ……ありっちゃあありっすね!
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