十九話 書状
木金は早めに投稿しようかと思います
「ん〜……ふぁ〜! んっ、うぅ・・・あうぇ⁉︎ 葛っちゃん起きちゃったの⁉︎」
目を覚ました緋月が大きな欠伸をして目を擦り、チラッと葛葉を見やり直ぐに目を逸らしたが、目を覚ましている葛葉に気が付きまた葛葉を見やった。
綺麗な二度見で葛葉は感嘆の息を漏らした。
「おはよう、ございます」
「おはよ〜。……葛っちゃん、よく眠れた?」
「……と思います」
緋月の言葉に顎に手を当てて思い返すが、よく眠れたのかなかったのかよく分からない。当然のことだと思うが。
「そっか……。んっ! 葛っちゃん、話があるんだ!」
葛葉の答えに素っ気なく返した緋月は、唐突に自分の両頬をパンッ! と思い切り叩いた。
葛葉が驚いていると、真剣な顔で緋月は話す姿勢を取るのだった―――。
葛葉を着替えさせた緋月は椅子に座りながら、一つの資料を葛葉の前に置いた。
「……これは」
「ギルドからの強制クエストだよ。……それは中央からやってくる書状だよ」
ビッシリと文字で敷き詰められている紙を手に取って読む葛葉に、緋月は悔しそうな声音でそう吐き捨てる。
資料に書かれている内容としては至極簡単だった。
「私に【八岐大蛇】の討伐・・・?」
それは討伐クエストだった。極東の命運が掛かった。
その他の文ではギルドが全面的に支援したり、極東支部のギルド長も参加すると言った内容が記載されていた。
「葛っちゃんはそれを断ることは出来ない。来たが最後、やり遂げるしかないんだよ」
「……」
まだまだ悔しそうで、憤怒を抱いている緋月に葛葉は固唾を飲み込んだ。
「ボクは大反対だったんだ。君には荷が重いって、そう思ってた。一昨日の戦いで君の実力は測れた、例え邪竜と殺り会ったとしても、君なら死ぬことはない」
悔しそうな声音から、憤怒の表情から、緋月はだんだんと穏やかな表情に変わっていった。
「……い。…………行って、くれるかい?」
言いづらそうに、喉に言葉を詰まらせながら。
恐る恐る言葉にした。
「……もちろんです!」
緋月の言葉に葛葉は快く首を縦に振った。
死にに行くのではない、律を連れ戻すことのついでに、邪竜【八岐大蛇】を倒す。
だから快く受け入れるのだ。
読んで頂きありがとうございます!!
面白いと思って頂けましたら、ブックマークと評価をお願いします!!