五話 知ってた
それもそのはずだろう、超美少女の葛葉のマイクロビキニネコミミメイド服姿が、勝てば見れるというのだから。
「ボクたちにッ! 夢をッ! 見せておくれぇ―――‼︎」
「―――ということで葛葉ちゃんの勝ち」
カンカンカンとゴングの鐘が鳴り、葉加瀬が葛葉の手を掲げた。
床に倒れ伏した鬼丸に、緋月や男性冒険者達が涙を流していた。その傍には六杯のジョッキが転がっていた。
「いえい」
と葛葉が小さくピースをしながら緋月を煽った。
「葛っちゃんもっとやっで‼︎」
だが効果はなかった。
テクテクと葛葉の足元へ這って、ガシッと足に抱き着く緋月を葛葉は一生懸命に振り解こうとするのだった。
「葛葉ちゃんはお酒強いんだね」
「はい、だから受けたんです」
ケロッとした葛葉に葉加瀬はクスッと笑うのだった。
すると葛葉の下に律がやってきた。満面の笑みで葛葉の手を取って、
「葛葉さん、葛葉さん! 一緒に飲みましょう!」
五十鈴や女性冒険者達がいる所に走り出す。それに続き葉加瀬や緋月も後を追うのだった。
宴会はまだまだ始まったばかりだ。楽しい夜がまだまだやってくる。
ギルドからまた再び響いた「乾杯‼︎」という声を綺羅星が聞き届けるのだった―――。
ガチャッと半日ぶりの家に帰ってくる。
千鳥足で靴を脱ごうとして倒れる葛葉と鬼丸。
そんな二人を解放するのは少し酔った律と、酒以外しか飲んでいない五十鈴だった。
「葛葉さん、大丈夫です〜?」
「ん〜……んー」
倒れ込んだ葛葉の顔を覗き込みながら律は声をかけた。が葛葉はまともに返事をせずに、ただ唸るだけだった。
「鬼丸様、鬼丸様」
「zzz……zzz……」
鬼丸を揺さぶる五十鈴だが、爆睡しているため全く起きる気配がなかった。
両者共に起きる気配はなく、律と五十鈴が二人して嘆息した。それと同時に二人を起こし、自力で部屋に行ってもらうことは不可能だと悟った。
二人は葛葉と鬼丸を背負い、二階に続く階段を登り始めるのだった。
律は葛葉の部屋、五十鈴は鬼丸の部屋に向かうために別れた。
「……おいしょ。葛葉さーん、布団かけますか?」
ベッドの上に葛葉を寝かせ、葛葉の格好を鑑みて掛け布団を手に取り葛葉に声を掛けた。
相変わらず唸り声で返事をする葛葉に、律も同様に唸って困り果ててしまった。
「ん〜律ー」
「く、葛葉さん?」
か細くそして小さく律の名を呼ぶ葛葉。律は何を言っているのかと葛葉の口元に耳を近づけた、その時だった。
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