十四話 鬼の王
これでチャラになりません?
なりませんよね……
機械音と水音が響く地下空間。無人の地下の研究所には辛うじて電気が通っていた。
配線が入り混じり、足場の踏み場さえ無い研究所には多数の血痕も見つけられる。
そんな中でも一際異彩を放つのは、水溶液の中で眠っている、裸の少女だ。
額からは立派な角が生えており、彼女が鬼族で有る事は明白だ。
その水溶液が入っている容器に近付く影。その影の存在に気が付いていた少女が、目をゆっくりと開ける。
その瞳はドラゴンのような瞳だ。その目に見られた途端に、全身から血が抜けそうになる。
「……ほぉう。なんじゃ、わしを起こしにきよったのかのぉ?」
鬼族の少女は目を開け、カプセルの外にいる人物に悪魔のような笑みを浮かべながら、質問した。
カプセルの外にいる人物はその少女の質問に少し躊躇い、恐る恐る答えた。
「……気に食わんの。そんな事でわしを起こしに来、わしにくだらん作戦をやらせようとさせおって。わしが好き好んでやるとでも思ってるのかの?」
少女の反感を買う答えを出した。
「言うは安しじゃ。うぬらに出来るんかの? 魔王軍よ」
少女の鋭い視線に、交渉役と思われる魔王軍軍人がたたらを踏み、腰を抜かす。
「だがまぁ、久々の戦じゃのぉ!」
ニヤリと、少女は上を向き地上でこれから何が起きるのか楽しみと言った表情を、浮かべた。
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四章最終話です!