十二話 傷に気付かなかった……傷だけにね
言い訳にしか聞こえませんけど、すっかり投稿した気になってました。
葉加瀬との日々のお勉強の甲斐があった。現代の軍や民間が使用できる銃はまだ造れないが、閃光弾や音響弾、催涙弾に先の破片手榴弾を造れるようになった。
が、しかし銃は未だにガバメントや第二次大戦の旧式の武器しか創れないのがネックだが。せめてMG42が創れたら、この異世界でもまぁまぁ使える武器にはなるのだが。この世界はどうやらとことん現代武器を嫌っているようで、というか現代武器に関わらず嫌っているようで。モンスターの皮膚や鱗は九ミリ口径は弾かれて、ダメージを与えないのだ。
――それから数分猛スピードで走り。
流石に体力も尽き、足もパンパンになった頃。葛葉は倒れ込むように足を止めた。
「はぁ……はぁ……はぁ……死ぬぅ!」
犬と同等の速度で走ってたのだ、それはもう尋常ならない疲労があるに決まっている。喉も水を欲している。が、残念なことに今手持ちには水が無い。
「……死んだわ」
「大丈夫ですか? 何ならおぶってきましょうか?」
「……なんか嫌だ」
「何でぇ!?」
律の気遣いを無下にし、葛葉は息が整い立ち上がる。街をモンスターから守る壁が見えているが、実際の距離はあと三キロくらいだろうか。この調子じゃマジで死ぬ。
葛葉はダラダラと流れてくる汗を雑に拭い、深呼吸をして歩き始める。あと少しで帰れる、そして水をがぶ飲みしようと誓うのだった。葛葉の戦いは、まだ始まったばかりだ!
「葛葉さん、本当に大丈夫ですか?」
「……空気読まないね」
「え?」
連載終了の漫画に書かれてそうな言葉を思い浮かべて、フェードアウトしていく世界。そんな妄想をしていた葛葉に律は声掛ける、が返ってきたのは失望の眼差しだ。理不尽にも程があるが……。
「ま、いいや。それでどうしたの?」
「い、いえ。その傷で本当に大丈夫なのかと……」
「え? 傷?」
律が葛葉の背中に指を差し、心配そうな顔でそう聞いてくるが葛葉は痛みも感じてないし見えないしで、どうでもいいかと思った次の瞬間。
急に脚に力が入らなくなり、手足の指先に痺れを感じる。脚に力が入らなくなった葛葉は、そのまま前に倒れ動かない四肢をどうにか動かそうとするが、びくともしない腕に諦めた。
「だ、大丈夫ですか⁉︎」
「……律……ここで一つ教えてあげる」
「な、何をですか!?」
幸いまだ動く口を動かして、律へ最期の言葉、遺言を託すように語りかける葛葉は、
「グルードッグの使う魔法にはね……大抵、毒があるもんなんだよ……」
そう言い、葛葉はいい表情をし、毒が全身へと回ってしまい気を失ってしまった。
読んで頂き、ありがとうございます!
いや〜二つのことをやろうとすると、もう一つが出来なくなる現象ってなんなんですかね。
明日は明日の分と、昨日の分を投稿したいと思います。