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二十八話

少し早いですが!

「―――ッ! 葛葉様が……レベルアップしています」

「っ⁉︎」


 五十鈴が放った言葉に律は仰天した。確かに次のレベルアップは近付いていると聞かされていたが、今レベルアップするとは思いもしなかった。前にもあったが……二度もあるとは。


「でも、様子が……」


 いつもの葛葉とは全くの別人の様だった。なぜなのかは理解出来ない。ただ言えることとして、あれは葛葉であって葛葉ではないと言うことだ。

 葛葉が敵を殺しまくり血に塗れ死体を踏みつけた。

 ナイフで斬り裂き、そして投げ付け、大鎌でぶった斬っていった。


「―――なにをしている、今が好機だろう」


 そんな葛葉と殺戮の限りを尽くされる黒い兵士たちを眺めている、白の兵士たち。

 その中央で一人だけ異質な威圧を醸し出す青年が、周りの兵士たちに言ってやると、渋い顔をした兵士たちが反論してきた。


「で、ですが我々では近付けません……!」

「Lv.2なら我々でも行けましたでしょうが、あの潜在能力(ポテンシャル)はLv.3です。我々と同程度の強さです」

「情け無い……それでも魔王軍兵士か?」


 はぁ……とため息を吐き、青年が斜め後ろに居る獣人へ振り返った。


「ルフ、やるぞ」

「はぁ人使いが荒いな、貴様」


 獣人顔の兵士というより、武士なその獣人はキッと鋭い視線で青年を睨んだあと、姿を消した。


「確―――っ⁉︎」


 獣人の武士――ルフは一瞬にして葛葉や五十鈴達の背後に回り、瀕死のカナデを攫おうとした。

 だが葛葉はLv.3になった全能感と研ぎ澄まされた五感によって、カナデが攫われそうになっていることに気が付いた。

 ギロリと殺意に満ちた目で獣人の武士を睨み付けた。


(気付いただと……!)


 驚きつつも冷静にカナデを抱き上げ走り出そうと、脚に力を溜めた時だった。耳を劈く爆発音が聞こえた、そして自分の右足の脹脛に痛みを感じた。


「くっ、やられた……!」


 脹脛に目を向けると円状の傷口から血が流れ出していた。動かそうとすると激痛が走り、嫌な汗が一気に、溢れ出した。

 この傷を付けたであろう者を見ると、身体を仰け反らせながらも、まだ睨んでくる葛葉と目が合った。


「ダフル、援護しろ!」


 使い物にならない足を見てすぐに、先ほどの青年の名を読んだ。

 青年——ダルフは、ルフの声にその長い耳をピクピクと動かし、直ぐに抜剣。ルフの援護へと向かった。

 背後を取られた五十鈴と律は、驚きはしたが直ぐに攻勢に出た。葛葉ばかりに何もかも任せていては、自分達が葛葉と共にいる権利がなくなってしまいそうだったからだ。


「させっかよ!」


 二人の同時攻撃を横から割って入ったダルフが防ぎ弾いた。その反動で二人は体勢を崩し尻餅をついてしまった。


「それはもう見たぜ」

「……チッ」


 ガキン、ガキンと飛んできた銃弾を剣で斬り落とし、拳銃を握る葛葉へとドヤ顔を向けた。そのドヤ顔に葛葉は舌打ちした、そんな舌打ちもその耳は拾うのだった。

読んで頂きありがとうございます‼︎

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