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二十五話 収まらず、進化する激情

遅れてすいません!

「―――へぇ、やるんだ」


 視界から一瞬で消えるほどの超速で緋月の背後に回り、アニムスに喰らわせた正拳突きをかましたが。緋月には小指一本で止められてしまった。


「心折れないでね?」


 小指で拳を止められて驚愕していたヴィルトゥスは笑みを向けられたと思った瞬間、背中に衝撃が走った。


「……がは」


 何が起こった、と脳みそが今の状況を認識しようとするが、それよりも先に緋月の行動が早かった。

 迫り来る緋月の攻撃を紙一重で交わし後ろを見てみると、隕石が落ちた後のようなクレーターが出来ていた。


「貴様、本当にLv.9か……?」

「さ、どうだろうね? …………あ! 逃げた」


 規格外の緋月の強さに、ヴィルトゥスが目を見開き尋ねたが緋月は誤魔化し答えなかった。

 緋月がまた大剣を担ぎ一歩踏み出した時には、すでにヴィルトゥスは居なくなっていた。


「はぁ、全く……あれ! 葛っちゃん⁉︎」


 葛葉を吹っ飛ばした方に目を向けてみたが、そこには葛葉の姿形もなかった。


『緋月』

「ん、葉加瀬。どったの?」

『魔王軍の残存兵力と冒険者が森の西側にある平原でぶつかった。幹部も一人いるらしい、今すぐ向かってくれ』

「え〜」


 王子様(緋月)のキスで、気絶しただろう白雪姫(葛葉)をメメントモリから正気に戻そうと画策していた緋月に、残念な報告が来た。

 葉加瀬からの、応援に行けと言う命令に、緋月は嫌な顔して嘆息した。


「全く……しょうがないなぁ」


 だが冒険者をむざむざと死なせる訳には行かない。葛葉を探したいところだが、緋月は冒険者達のもとに向かうのだった。




「……うっ、くっ……カナ、デちゃん


 木に手を付きながら歩くのは、未だにメメントモリの力に飲み込まれた葛葉だった。

 頭の中はアニムスへの憎しみや殺意で満たされていたが、頭のほんの片隅にはカナデのことが残っていた。

 だからこうして無意識に足が進んでいるのだ。


「今、行くから……だから、生きてて」


 殺意に満ちた瞳が徐々に、いつもの葛葉のような瞳へと変わっていく。

 正気を取り戻そうとしているのだ。


「―――こいつ!」


 よろよろと拙い足取りで歩いていると、後ろから声が聞こえた。ゆっくりと振り向くと傷だらけの魔王軍兵士が三体居た。

 その三体はアニムスの部下だ。

 ブワッと怨嗟が身体の芯なる部分から湧き上がった。全身に血が巡り、目が飛び出そうなほど見開き、歯が折れるような力で噛み締めた。

 鎌を構え、襲い掛かってくる三体と正面から殺り合い始めるのだった。


「『死を思え(メメントモリ)――怨嗟の嘆き』」


 スキルが進化する。激情が、悔恨が、怒りが、殺意がLv.2の膂力を遥かに上回る力を発揮させた。


「ぐぁ‼︎」

「こ、こいつ、強いぞ‼︎」


 一体を真っ二つにし残る二体に鋭い視線を向け、葛葉の鬼気に足が竦む兵士たち。

 だが兵士の屈強な精神で剣を構え立ち向かった。


「死んで」


 剣を葛葉に当てる寸前、ボトッと頭の一部分が地面へと落ちた。始まると止まらず、崩壊の連鎖は頭から全身へと移っていった。

 ドシャと乱雑に斬られた身体は原型がどんなのだったか、想像出来ないほどにグロく斬り刻まれていた。

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