表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
405/752

十八話 冠を頭に

「『日輪の冠をッ―――‼︎』」


 ドンッ、葛葉の詠唱が終わると同時、その場の生命皆が葛葉に頭を垂れた。と言っても葛葉よりも弱い生命のみだが。

 それでも【紅焔凱―光冠―】は魔王軍幹部が目を見張る物だった。


「ケヒヒ! お前本当にLv.2かぁ⁉︎」


 木に着地し、冠を頭に乗せた葛葉へアニムスの身体が飛んでいく。

 剣を突き出し葛葉の顔を剣で風穴をあけるつもりなのだ。だが葛葉はそれを避け、空中にて回避できないアニムスの腹へ膝蹴りし、そして背骨へ踵落としを見舞いした。


「……っ。ふぅ〜……」


 ピキッと真顔だった葛葉の表情が崩れて、ブワッと汗が噴き出てきた。

 スキルの連発と最大出力の魔法の維持で、葛葉の身体が悲鳴をあげているのだ。


(これじゃまだまだ手温いかも……アイツ、結構頑丈だ)

「あ〜肩凝りに効きますねー」


 あの一撃をくらい立てる時点でダメージにもなっていないと、葛葉には分かっていた。普通なら背骨が折れている威力というのに。


「……全く、あなた達は本当に化け物ですね。リリアルもあなたも」

「い〜や〜、リリアルの方が強いよ、言っとくけど」


 魔王軍幹部で一番記憶に残っているのはリリアルだ。鬼族の里を襲撃し、殺戮の限りを尽くした少女。

 一人だけでも十分強いのに、あの化け物まで共に攻めてきたのだから、流石の鬼族でも勝てなかったそうだ。五十鈴の有り余る魔力と、『葛葉』の戦闘センスが上手くハマっただけで、ただの運だ。


「アイツ、今鍛えてるって。ケヒヒ、次会ったら殺されるね〜……お前は今日ここで死ぬけど」

「つまらない冗談。私が死んだら、避難民が死んじゃうでしょ」


 先程までのピリピリとした空気が戻ってき、二人の殺意が高まっていく。

 その二人を眺めていたヴィルトゥスが冷や汗をかくほどに。

 何故なら側から見たら二人のオーラが、虎と龍のように見えるからだ。


「勝つ気でいるのか、ククク。滑稽だなぁ」

「どうしたの? ビビってないで早く来なよ、それとも怖くなった?」

「死ね」


 煽り性能が高すぎる葛葉の顔目掛け、無詠唱の『石弾(ロックバレット)』が放たれた。のだがそうくると思っていた葛葉にとって避けるのは容易だった。

 魔法のおかげで土煙が舞い、葛葉の身体がその中に消えていく。第二射の魔法を放とうと手を突き出した時。

 バンッ! バンッ! と二回のみならず何回もそのような音が鳴り響いたのだ。

 アニムスの掌に風穴が開き、腹にも首にも風穴が空いた。本当に一瞬のことに驚き固まっていると、葛葉が土煙の中から飛び出してきたのだ。


「『石弾(ロックバレット)―――ッ‼︎』」


 急いで第二射を詠唱し、石の弾丸を飛ばした。

 だが葛葉の身体には一つも当たらなかったのだ。身体を細めているせいなのか、一発も。

 それなのに、葛葉の放つ魔法ではない何かは確実にアニムスへダメージを与えていた。


「なんだ……これ」


 魔王軍幹部であるはずの自分が押されている。その事実にアニムスの感情が怒りで昂ってしまった。


「死ね……死ね! 『石弾(ロックバレット)―無慈悲の弾丸――ッ‼︎』」

「―――っ!」


 展開される魔法陣の数に葛葉が足を止め息を呑んだ。

 アニムスの身体の左右上下360度死角などなく、そして無差別に石の弾が放たれた。

読んで頂きありがとうございます!!

面白いと思って頂けたら、ブックマークと評価をお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ