八話 やっと新しい仲間!
タイトル名話数間違ってました
――五分後――
ひっくり返ったテーブルや、周囲のお客さんに迷惑をかけた分、葛葉は誤りながらせっせと動く。男達にも手伝わせたいが……今は簀巻きにしているから手出しできない。かと言って縄を解いたら逃げそう。
「すいません」
「い、いえ……。こ、こちらとしても助かりましたので……」
葛葉必死にぺこぺこと謝った。その後ろで律は、散らかった料理をチリトリで集めていた。葛葉のあの一方的な戦いっぷり。まぁ所詮、一般人と冒険者の戦いなのだ、男達が負けるのは当たり前としか言いようがない。
「……あの人」
律は葛葉の背を見て確信し、自分の心に誓った。あの人ならきっと故郷を、極東を救ってくれる。あの厄災を退き、最悪の未来を討ち払ってくれる。そう確信した。
あの預言者の言葉が正しいのならば、あの人こそが【英雄】だ。
日が暮れようとし、空は朱色に変わり夕陽が爛々と世界を彩る。店での一件の後、葛葉は片付けを手伝いその報酬として、食べ損ねていた昼食をとった。
そして昼食をとってすぐに店を後にしようと、店を出ると。葛葉に続き、カランカランとドアベルが鳴り、律が店から出てくる。
「あの!」
「……ん?」
ギルドに帰ろうとした葛葉を律は声を大にして呼び止めた。葛葉は呼び止めた律に振り返る。
「わ、私を! あなたの、パーティーメンバーにして下さい‼︎」
「……え?」
律の言葉に葛葉は一瞬間を開けてしまったが、直ぐに声を出した。声と言ってもいいのかどうか。急なパーティーメンバーなんて言葉が出るし、誰が欲しいと言ったのか。少なくとも葛葉言っていない。
「……あの、ダメですか?」
律は不安そうに返事を返さない葛葉に聞く。当の葛葉はどうしようかと迷っていた。
ラグスとは成り行きでパーティーメンバーになったのだ。こうやってなった訳ではない。というかあれはパーティーメンバーとかじゃ無くね? ラグスが弟子になりたいって申し出て来て、それを承諾しただけだ。パーティーメンバーとかじゃ無くてただの師弟やん。
「別にいいけど……いいの?」
「はい! あなたが良いんです!」
律が葛葉へより、葛葉の手を掴み上目遣いでそう言ってくる。
何これ……てか、既視感半端な。あ、そうかアニメとかでめちゃくちゃある演出やん。
葛葉は現実であるんだなぁと、異世界にいる時点で現実味がないにも関わらず、思うのだった。
「……律はもう冒険者になってるの?」
「いえ、まだ冒険者登録は出来てないんですよ」
「ほ〜じゃ、ギルドまで一緒に行こっか。登録の手続きは多分説明してくれるだろうし」
「は、はい!」
「あ、そういえば名前言ってなかったね。私の名前は葛葉。葛葉って呼んで良いよ」
「はい! 葛葉さん!」
葛葉は律の手を握り返し、二人はギルドに向かうのだった――。大通りを行く少女達は華々しかった。
読んでいただき、ありがとうございます!
今回は少ないかもです。最近忙しくて……言い訳にしか聞こえないですけど。