二話 不味いですよ!
今日も早めです!
突然のことに葛葉は固まってしまう。何が起きたのか。まだまだ寝起きで冴えていない脳みそをフル回転させ、必死に考えた結果、直ぐに思いついた。
なに、簡単なことだった。
「カナデちゃん?」
目線を部屋の扉の方に向けると、そこには不適な笑みを浮かべるカナデが居た、ハート目で。
「英雄様〜♡」
と抱き着いてこようとするカナデ。
またこのパターンか、と葛葉がため息を吐くが今はそんなことより、貞操を守らなければいけない。
「カナデちゃん、こういうのは……え」
急いで立ち上がって、カナデを拘束しようと思った時だった。身体が金縛りにあったかのように動かなかったのだ。
なぜかと言うと、いつの間にかベッドの上から落ちていた鬼丸が、ギュッと葛葉の身体を掴んでいたからだ。
「あ、まずい」
このままでは食われてしまう。
そう本能的に理解した時だった。
ガチャッと扉が、外側から開けられたのだ。
「葛葉ちゃ〜ん。朝ご飯ですよ〜・・・て〜、あら〜?」
入ってきたのはどうやらカナデの母、カナエだった。
寝巻きを少しだけ肌蹴させていたカナデと、ベットの上に仰向けに寝っ転がる葛葉を見たカナエが、頬に手を置いて何度か首肯した。
「あら〜あらあらあらあら〜」
そしてそう何度か同じように呟いてから、葛葉たちに背を向けて扉を閉めようとした。
咄嗟にカナデと葛葉が、この状況は誤解だということを言おうとした時だった。(誤解でもなんでも無いのが事実なのだが)
「今日のお夕飯はお赤飯ね〜」
と言い残して部屋を後にしてしまうのだった―――。
読んで頂きありがとうございます‼︎
この状況での親フラは死を覚悟しましょう!
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