十五話 カナデの過去(3)
次は詳しい人からです!
「…………ん〜、初めまして。鬼代葛葉と言います。こちらが律、こちらが五十鈴。そしてこちらが鬼丸と言います」
迷い始めたカナデに変わって、葛葉が一歩前に出てそう名乗った。ついでに五十鈴達の名前も言うのだった。
「どうも!」
「お初にお目にかかります」
「よろなのじゃ〜」
三人のうち二人が、その中でも一番五十鈴が礼儀正しく……そして律はフラットに挨拶をする。
だが鬼丸だけはにへらにへらと超軽く挨拶をするのだった。
そんな鬼丸をみて葛葉は、後で説教しよっと、と決心するのだった。
「初めまして〜。カナデの母の〜、カナエです〜」
と微笑みながらそう名乗ってくるのだった―――。
―――家の中に入りリビングへ通された葛葉達は、出された紅茶を飲みながら話をしていた。といっても、鬼丸と律はルナと一緒に遊んでいるが。
側から見ると三姉妹みたいだ。
あ、律がお姉ちゃんしてる、スマホがあったら撮ってたのに……。
葛葉が名残惜しそうに眺めるのに、五十鈴が葛葉のことを横からジーッと見るのだった。
「そうですか、カナデは頑張ってるんですね〜」
「あ、はい。とても頑張ってますよ。……この前なんかも、すごく助かりましたから」
三人から目線を外し、葛葉は目の前に座っているカナエに向き直った。
葛葉が助かったと言うのは、つい最近の大きな出来事である、奴隷商のことだ。
カナデが居なかったら、葛葉を含め何人もの死者が出ていたのは確実だろう。だから、カナデには物凄く助かっている。のだが……。
「迷惑かけてないかしら〜?」
「…………いえいえ、そんなことは・・・ありませんよ」
と咄嗟に否定に入ろうとしたが、葛葉は途中で声を詰まらせてしまった。
迷惑は掛けられてはいない、そう迷惑は。異常な言動は多くされている。……目の前に育ての親が居るのだから、せっかくだし昔のカナデの話でも聞いてみるか。
村長の話では詳しいことはわからなかった。というか村長の話は昔の出来事だけしか話されていない。
カナデのことを詳しく知るなら、この人に聞くべきだろう。
「昔のカナデちゃんはどういう子だったんですか?」
「昔のあの子? そうね〜ちゃんとしてたわ〜、本当に九歳なのか疑うほどにね〜」
カナエは一瞬だけ悩んだが、すぐに昔のことを思い出しながら葛葉に話した。
村長の話の時もそうだったが、カナデはとても子供とは思えないほどちゃんとしていたようだ。
「……そ、そうですか」
そんな子がどうして、同姓である葛葉のことをここまで好きになってしまうのか……。
葛葉がそう言いにくそうにしていると……。
読んで頂きありがとうございます‼︎
肝心の本人は買い出し中です!
面白いと思っていただけたら、ブックマークと評価をお願いします‼︎