十三話 カナデとの接し方
ついにカナデの愛に葛葉が応える⁉︎
「それから今日まで、里親の母が女手一つで育てたんですよ」
「……そうだったんですか」
それにしてはやけにカナデは葛葉のことを好いているのが、よく分からないが。
でも、そうなら、そんな経験をしてきたと言うのなら、葛葉がカナデにやってあげれることは……。
「―――英雄様ー?」
「ん」
しんみりとした空気を横から入って破ってくるのは、カナデだった。
待ち合わせ等はしていないが、いつまで経っても村長の家から出て来ない葛葉のことが気になったのだろう。
「おーい葛葉よー、早くするのじゃ〜」
……どうやら鬼丸も居たみたいだ。
正直あの二人と一緒に居ると、いつ食われてもおかしくない。どうにか食われないようにするには……?
「葛葉さーん? カナデちゃんがカナデちゃん家で泊まらせてくれるみたいですよー?」
と思っていると、律がそげなことを言いながら村長の家の中に入ってくるのだった。
「あぁそう言うことだったんだ。わかった」
どうやら食われる心配はないらしい。
カナデの家、先ほど聞いた話で出てきた里親の人の家となる。この世界には心優しい人たちが沢山居るのだと、葛葉は何故かそう嬉しくなった。
村長の家から徒歩五分ほど。この村自体が小さいためか、すぐに着いてしまった。
「ここが私の家です!」
と玄関前に立ってそう言うカナデ。うん、まぁ普通な家だ。当たり前だが。
ただし日本の一軒家によく似ていた。
「うむ、儂が止まるのに相応しい家じゃな!」
「"暮らす"だったら?」
「燃やすのじゃ!」
「物騒なこと話さないでください!」
腕組みしながら誇らしげに首肯しながらブツブツと何事か呟く鬼丸に、葛葉がもしもの話をしてみると、とても物騒なことを言うのだった。
ハキハキと元気な声も相まって、かなり危険かもしれない。
「少しお待ち下さい♡ 英雄様!」
カナデが鬼丸の言葉に冗談だよねと確認をしている葛葉にそう言って、家の扉を叩いた。
何度か叩いてしばらくすると、家の中から音が聞こえ始めた。急いでいるのかバタバタと忙しない足音だった。
そして直ぐにガチャっと玄関扉が開けられるのだった。
読んで頂きありがとうございます‼︎
辛い過去を背負ってるのだから、少しは優しく接してあげるのが優しさですかね?
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