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十一話 カナデの過去(1)

すいません、話数間違えてました!

それから暫くして。


「いや〜助かりました! 大変ありがとうございます!」


そう感謝してくるのは小太りな初老の男性だった。カナデが言うにはこの村の長、つまり村長らしい。


「いえいえ。頼まれたのですから、当然ですよ」

「おぉ……なんと素晴らしい方だ……。お礼をさせて欲しいですな! 今夜はこの村に泊まっていくと良いでしょう! ……どうやらこれから一降りきそうですからなぁ」


村長がそう言い外を見ると、確かに雨雲ゆっくりとこちらに近づいてきていた。

それを見た葛葉は、四人に目配せすると、村長に向き直って「お言葉に甘えさせてもらいます」と言うのだった―――。

―――各々が村長の家から出て行った後、ソファには葛葉と村長だけが残っていた。


「……いや〜しっかし、あの子がね〜」

「……?」

「ん? おおっとこれは失礼、少し浸ってしまいましたな」


唐突に声を発した村長に、葛葉が手に持っていた湯呑みを机に置いて疑問符を浮かべていると、それに気が付いた村長がいかんいかんと苦笑しながらそう言ってきた。

ところが、そんな村長の表情はどこか寂しげだった。


「あの子って……?」

「……カナデのことです。あの子は昔から面倒をよく見ていたのでね。…………よければ、少しだけ話に付き合って貰えませんか?」


村長が変わらず寂しそうな表情でそう言ってきた。葛葉は、村長がそんな表情をする理由とカナデの昔のこととかが気になったので、話を聞いてみることにした。


「あの子は……幼い頃に両親を亡くしたんですよ。里親が見つかるまで、私の家で面倒を見ていました。……あの子はね、この家で過ごしている間はずっと笑顔だったんですよ。私と私の妻を不安にさせないようにって」


話の始めはかなり重かった。まさかカナデも、幼い頃に両親を亡くしていたとは。

葛葉もちょっとだけ違うが同じ境遇だったのだから。


「……カナデちゃんの両親は、なぜ……?」

「あれは事故だったんですよ。私たち大人がしっかりしていれば、あの子を孤独にはさせなかった……。今日みたく、街から物資が届いた日の出来事でした。……あの子の両親を含めて村中の大人達が、その物資を倉庫に運ぼうとしていた時でした」


村長はそこまで言うと、一度話を区切り、湯呑みをそっと取ってお茶を一口飲んだ。ふぅと、一息吐いてからまた話始める。


「その日の物資は多かったんです、いつ崩れてもおかしくなかった。勿論我々も馬鹿ではありません、細心の注意を払って作業していたんです。ですが、気が付けなかった……小さな小さな綻びには」


きゅっと締め付けられるかのような、悲痛な声に葛葉は眉を寄せるのだった。

読んで頂きありがとうございます‼︎

ついにあのカナデの過去⁉︎ これはカナデフラグが立つのか⁉︎ もう立ってるけど……。

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