五話 一触即発なチビ共
言葉が刺々してますね〜
パッと緋月の姿が他の誰かの姿と入れ替わり、隣に座っていた鬼丸が金棒を、カナデが座っていた席に振り下ろしたのだ。
「……ボクとやる気かな―?」
「ふっ、儂はいつでも良いぞ?」
「表……出よっか?」
カナデのスキルで入れ替わった緋月は、二人の連携技を受けて殺気だった目で、目の前の鬼丸にそう尋ねるのだった。
一触即発な緋月と鬼丸の気配に気付いたギルドに居た人々。固唾を飲み込みつつ逃げる準備を整えて行末を眺める。
「……」
「……」
とそんな二人は急に黙り込んでしまい、チラッチラッと一人の人物をチラ見し出したのだ。
ジーッとただ黙って、二人のことを見ている葛葉を。
「く、葛っちゃん……?」
「何も言わないのやめて欲しいのじゃが……」
二人が無言の葛葉に対して危機感を抱き、一触即発な雰囲気がなくなってしまった。
葛葉が「ん?」と首を傾げ、別になんとも思ってないんだけどなーと表情を和ませるのだった―――。
「―――ここだよ!」
あの後二人は無事に喧嘩に発展しなかったので、葛葉が緋月に早く案内してくださいと言い、馬車があるところへやって来たのだ。
デデンと立派な馬小屋があるのかと、想像していた葛葉達を裏切って、目の前には大層立派な竜の小屋があった。
「なんとボクと葉加瀬は優しいからね、馬車じゃなくて……竜車を用意しといたよー!」
と緋月が言うのと同時に、地竜が猛々しい咆哮を上げるのだった。
そんな予想外の光景に葛葉達は点になってしまった目が戻らずにいた。
「なんと! 竜車なら君達が行こうとしている場所へ……一時間半で着く事が出来るんだよぉ!」
カナデから話を聞いてた通りなら、馬車で四時間掛かるか掛からないかぐらいだった。
だが用意されたのは竜車。馬よりも圧倒的に速い地竜だったのだ。
「いや〜、地竜だなんて王族か貴族かギルド長ぐらいしか持ってない代物なんだからねー。ありがたく使ってよ?」
皆が固まっている中、ペラペラと緋月は自慢話なのかよく分からないことを語り続けた。
地竜は一応希少種なのだ、それをほいほいと冒険者に貸し出すのはどうなのだろうか。
まぁ葛葉達だから貸し出してくれるのだろうが。
読んで頂きありがとうございます‼︎
低身長キャラにチビって言って殺されるのが夢です。
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