二十一話 プロポーズはまだまだ
結局、昨日とほぼ同じですね。
――数時間後――
「……ねぇ、鬼丸。急にどうしたの、ここに行きたいって」
昼食をとって色々と鬼丸に連れ回され、夕陽が沈み始め薄暗さが街を覆っていた。
そんな中鬼丸が急に行きたい場所があると言い、この街でロマンチックという事で人気な場所へ来たのだ。
葛葉と鬼丸の周りにはカップルが多く、葛葉にとってはとても居心地が悪い。
「フッフッフッ、言ったであろう? うぬはわしの妻じゃ」
「んー、認めてないけどね」
勝手にキスをされ、勝手にそういう契約を結ばれただけだ。認めるわけがない。
「ならばあの者たちが用意出来そうにない物を、わしは葛葉にプレゼントするのじゃ!」
「律たちが用意出来ない物?」
「そうじゃ!」
と言われても葛葉には見当がつかなかった。
葛葉が持ち前の立派なアホ毛を疑問符の形にさせ、首を傾げた。幾ら考えても思い付かない、一体なんだと言うのだ。
そう思っている時だった。
鬼丸が手を後ろに回して、取り出した物を見て、ピキンと石のように固まってしまった。
「お、鬼丸? そ、それってさ」
葛葉にだって分かる。いや、誰しもが一瞬で理解出来るだろう。
鬼丸が取り出した"物"とは、誰しもが見たことのあるあの箱だった。紺色の少し大きな箱だ。
「何か分かってるよね……?」
「うむ、分かっておるし本気じゃよ」
鬼丸が葛葉に箱を向けて、そしてゆっくりと箱を開けるのだった。
「結婚指輪、と言いたいところなんじゃが……。やはり、それはうぬにわしのことを完全に好きなってもらうまでは無しじゃ。じゃが、せめてあの者たちに負けぬような物を贈りたかったのじゃ〜」
「……そ、そう」
「箱はそう言うのに使う物じゃがな!」
しれっと結婚前提で惚れさせようとしてる鬼丸に、葛葉は苦笑を浮かべるのだった。
読んで頂きありがとうございます‼︎
葛葉が鬼丸に惚れるなんてこと、あるんでしょうかねー。きっと葛葉が弱ってる時に、鬼丸が優しくしてくれたらじゃ無いですかねー。結論、あり得ないってことで。
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