二十話 先輩、後輩
葛葉に後輩⁉︎
「上条さんに雨宮さん……同じ日本人同士、節度を守って仲良くしましょう」
「な、なんか最後だけ圧が……」
葛葉が伸ばした手を気圧されながらも握り、握手をする上条。葛葉の最後の言葉だけ、何故か力がこもっていて棘があり、苦笑を浮かべる上条なのであった。
誰のことなのかは知らんが。
「上条さん……」
「―――さんはやめて下さい。慣れないんで」
葛葉が上条の名を呼ぼうとした時だった、葛葉の言葉を遮り、食い気味に上条がそう言って来たのだ。
「出来れば、下の名前で呼ばれたいんですよ」
「………….そうですね。智也、さんでいいですか? 下の名前を敬称なしで呼ぶと、誤解を招きそうなので……」
「あ、それはもちろん」
険悪な雰囲気になるかと思われたが、葛葉のその心配に見事に持ってかれ、そんな雰囲気はどっかにいってしまった。
「じゃあ、敬語……やめませんか?」
葛葉が上条を下の名で呼ぶのだ、それなのに敬語なのは少し変だし、同郷の住人だ、この世界では数少ない。
見た感じ、智也の方が今の葛葉よりは年上だろう。17と言ったところか。
「そ、そうだな! ……はぁ〜ぁ、生き返るぅ」
「あはは、先輩さっきから緊張し過ぎですよー」
と双方が敬語をやめることを認めると、智也が脱力し青葉が、脱力している智也をバシバシと叩く。そんなに緊張することはないと思うのだが。
「智也さん達はこれから、どうするんですか?」
「ん、俺達は、あの葉加瀬って人がこの世界のことを教えたりしてくれるってことで、当分ここに滞在するつもりだけど」
葛葉が智也に尋ねると智也は、先程までの白衣のあの人物を思い出しながらそう言った。
「やっぱり葉加瀬さんは面倒見いいんだ」
「知り合いなのか?」
葛葉の知ってたかのような物言いに、智也は疑問符を浮かべて首を傾げた。
「ん、結構お世話になってるから」
葛葉のスキル向上のため毎夜毎夜、様々な武器やその構造を教えてもらっているのだ。(しかも教え方がすごく上手いのだ)
だから葛葉は、葉加瀬には本当に頭が上がらないのだ。
緋月に関しては手が上がるが。
「はぇ〜……あ、そうだ。俺らも冒険者になるつもりだから、そん時は色々と教えてくれるか?」
「……うん、先輩として手取り足取り教えてあげる。ね、鬼丸」
「……む? フッ、鬼のように叩き込んでやるのじゃ」
殺気を丸出しにして脅すようにそう言った鬼丸の頭を、葛葉はペシっと叩くのだった―――。
読んで頂きありがとうございます‼︎
遅くなりましてすいません‼︎
年上の後輩て、なんか聞き覚えがある気が……。まぁ実年齢は葛葉の方が圧倒的に上ですけどね。
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