十九話 クソチーター
初っ端ほぼ敵なしってヤバいですね!
「…………お二人はもう冒険者登録はしたんですか?」
「あー、ごほん。……はい、一応しましたよ。能力測定の後に」
「……ちなみに何かチート能力を?」
葛葉が鬼丸から二人に視線を移し、葛葉が最も気にしていたことを尋ねた。
この二人は日本からの来訪者だ。ならば、必ずしもチート能力を持っているに違いない!
「…………おぇ」
「なんで吐きそうに⁉︎」
葛葉が尋ねて数秒してから、男が口を塞いで嘔吐きそうになるのを必死に堪え始めた。
なぜなのかと言った目で、美少女の方を見てみると「あはは」と苦笑いを浮かべていた。
「先輩はチートを持ってないみたいなんですよね〜」
当分復帰できそうにない男に代わって、美少女が葛葉に説明し始めた。
「……ちなみに」
「あ、私はもちろん持ってますよ! なんか、レベル? てのが私はもう7らしいです」
・・・ぽく、ぽく、チーン。と葛葉の頭の中で木魚の音とベルの音が鳴った気がした。Lv.7、それは人智を越した者たちが至る至高の頂だ。
一国なんか簡単に滅ぼせる力を持っているはずだ。
それがこの世界に来てまだ一日くらいの、女子高生がなっていい物ではない。
「チーター過ぎるよ……それは」
思いもよらない、攻撃力が高過ぎるエグい言葉を聞き、葛葉は顔をどんよりさせていた。
胃もたれしているかのような気分だ。
「なんで俺じゃないんだぁ〜……」
と目から滝のように涙を流しながらぼやく男。机に突っ伏していたので、葛葉は――男の気持ちが分かるため、優しくそっと男の背中を摩ってあげるのだった―――。
「―――そういや、両方共名乗ってないですよね?」
あれからどうにか復活出来た男が、運ばれて来た料理を食べながら、ふと葛葉を真っ直ぐと見てそう尋ねて来た。
葛葉の名前は、鬼丸とかが呼んでいるからもう知ってるかもだが、ちゃんと名乗ってなかった。
「そうでしたね……」
「あー……っと、コホン。……俺の名前は上条智也、そんでこっちが」
「雨宮青葉で〜す」
気を取り直して男――上条は名乗った。そして美少女へバトンを繋げた。
美少女、雨宮青葉。可愛らしいがその実、Lv.7の化け物だ。
「よろしく。……私は、鬼代葛葉。で」
「フッフッフッ、聞いて驚くが良い! わしの名は……鬼丸じゃ‼︎」
突然バッと立ち上がり、バッと腕を振り抜いた鬼丸に、二人はパチパチと瞬きをしてから、ハッとして小さく拍手をし出しだすのだった。
「わぁ〜、のじゃロリだー」
「本当に居んだな〜」
と二人は鬼丸に対してそんな感想を述べるのだった。
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明日明後日の投稿も遅くなると思います!
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