十八話 お話し合い
問題なく出来るかな?
―――そして葛葉たちはテーブル席に着いた。葛葉と鬼丸、男と美少女で向き合う形だ。
先程から男が気不味そうにしているが、鬼丸は気にしておらずメニュー表に釘付けだ。
「のう! 葛葉よ、好きな物を頼んでも良いかのう⁉︎」
「うん、いいよー」
肩を掴んでユサユサとかなりの力で揺らして来る鬼丸に、親指を立てながら葛葉は適当に快諾した。
早速鬼丸がメニュー表の中の物を選び始めた時だった。
「あの、それで話って……? ま、まさか、やっぱり触ったからセクハラで訴えるとか⁉︎」
「え、しませんよ?」
「じゃ、じゃあ痴漢で訴えるとか⁉︎」
勝手な解釈をしまくっている男に、葛葉は「えぇ……」と呟きつつ、隣に座っている美少女に目線をやった。
「……先輩。被害妄想過ぎますよー、あれは事故だったって本人も言ってるじゃ無いですかー」
すると意図を汲み取ったのか、美少女が男の背中を摩りながら諭すように、葛葉が言いたかった言葉を言ってくれる。
「ほ、本当か……? 賠償金はなし……?」
「なしですよー、それに! 先輩には超絶可愛いこの私が付いてるじゃ無いですか! 事故なんですから、気にしないで下さいよ!」
突然諭すような口調だったのが、自信満々な声へと変わって自分に親指を差し、ムフンと息を吐く美少女。
そんな美少女にパチパチと瞬きを繰り返す男と葛葉。
「……いや、元はと言えば全部お前」
そう、あの事故もこの美少女が謎の全能感に駆られ暴走した結果の産物だ。
男がそこを突っ込むと、美少女はほぇ? みたいな顔をしてから、ゆっくりと手を動かし始めた。
そして自分の胸に――葛葉よりも少し大きめの胸に――男の手を持っていったのだった。
「……………何してんの? お前は」
「え? 先輩はあの時の感触が忘れられないんですよね? だからずっと引き摺ってるのかと……」
「なわけあるかーッ‼︎」
美少女の突然の奇行に男がすぐさまツッコミを入れるのだった。なんか、夫婦漫才みたいだ。
隣では鬼丸が「イチャイチャしてんじゃねぇぞ」と言いたげな目でニッコリと微笑んでいた。
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