表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
356/751

十四話 腰をホールド⁉︎

他意はありません。

「まったく……明日はクエストしないと……」


このままでは一文無しになってしまう。

グッと拳を握り締め、葛葉はそう決意した。と同時だった、ドサッと何かが地面に置かれる音が葛葉の真後ろから聞こえてきたのだ。

葛葉が振り返り地面を見てみると、なにやら怪しげなバッグが置かれていた。


「……ん?」


恐る恐るバッグを手に取り、ファスナーを開けてみた。

すると中には万札の束が二個入っていた。その一束は百枚だろう。要するに日本円で言うと百万ということだ。


「………………………………ど、どうして⁉︎」


開いて塞がらなかった口を一度閉じて、葛葉は驚いた。お金を欲しがった途端にお金が落ちてきた。


「ふむ、彼奴か」


葛葉と違って、鬼丸は札束には目を向けず建物の物影を見据えていた。

が、葛葉はアワアワと大金にたじろぎ、鬼丸が目を向けている方には意識がいかなかった。

だがパキッと木の枝の折れる音がし、葛葉も鬼丸の向いている方へ目を向けるのだった。


「……あ」


向けた先には葛葉のことを病的なまでに溺愛する、ヤンデレ? の美少女―――カナデが居た。

葛葉がカナデに気付き声を漏らすのと同時にカナデが逃げようとして、いつの間にかにカナデの後ろに居た鬼丸に拘束されるのだった。


「っ……⁉︎」


ガシッと腰を完全にホールドされ、Lv.1のカナデの力量では当然だが振り解ける訳がなく、大人しく脱力するのだった。


「ほ〜れ、逃げるでない」

「ん〜、ちょっ、鬼丸、力入れ過ぎ! 白目になってる‼︎」


どうやら今の脱力は気を失っただけの様だった。

鬼丸もそう言われて気付き、カナデのことを見て「あ、本当じゃ」と呟きカナデの身体を地面に優しく置くのだった―――。


「―――腰が無くなるかと……思いました……」


あれから暫くしてから目を覚ましたカナデが、開口一番に言ったのがそれだった。

腰に手を置き、粉砕されてないか確認をしてふぅっと一安心するのを、葛葉はから笑いを浮かべながら眺めていた。


「ふぅむ、力加減を誤ったのじゃ……許すのじゃぞ?」

「え……」


あからさまに悪気が無い鬼丸に、カナデが困惑し葛葉が底冷えしてしまう様な目で睨め付ける。

葛葉が静かに鬼丸の隣に立ち、そして拳を鬼丸の頭に落とすのだった。


「……い、痛いのじゃ」

「言うことは?」

「…………ごめんなさいなのじゃ」


頭を抑えて涙目になりながら、鬼丸は何とも言えぬ顔で、そうカナデに謝るのだった。

読んで頂きありがとうございます‼︎

腰をホールド……ですか、ふむ、いいですね。

面白いと思って頂けたら、ブックマークと評価をお願いします‼︎

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ