十話 葛葉のお悩み相談!
遅くなりました!
頼んでいた物を受け取り、鬼丸は先ほど、葛葉を置いてけぼりにした場所へと向かっていた時だった。
ガヤガヤと何か話すような騒がしい音が聞こえてきたのだ。
「……?」
鬼丸は疑問符を浮かべながら、路地裏から出てみるのだった。
するとそこには、当たり前だが葛葉が居て、その周りにはごろつきが大量に居たのだ。というか並んでいた、一列に。
「…………??」
それは色んな人が困惑するのは当たり前だと同時に、鬼丸ですらも困惑することはあるのだと、鬼丸自身も初めて知った瞬間でもあった。
「俺ぇ……救われました! 葛葉の姐さん! また相談にきますんで、そんときもよろしくお願いします‼︎」
とここに来た時にはナイフを舌で舐めてた男が、ナイフを人の居ない方へ投げ捨てながらそう言って、一礼してから路地裏を後にしていった。
そして次は、
「葛葉の姉貴! この御恩は忘れやせん! ……くぅっ! 俺らを捨てたこんな理不尽な世界で、また俺らに一歩を踏み出す勇気をくれたんだ! 一生返せねぇ恩でさぁ! 姉貴、困ったことがあったらなんでも言ってください! 荷物持ちでも雑用でもなんでも熟しまさぁ!」
と言い、感極まった表情で何度も頭を下げる巨漢の男。
その他にも、幾人ものごろつきたちが改心したような顔で、この掃き溜めのような場所から軽快なステップを踏みながら去って行った。
「…………何なんじゃ」
困惑を超越した何かを味わっていると、葛葉が鬼丸の存在に気が付き近寄ってくるのだった。
「遅かったね?」
「…………いや、いやいやなのじゃ。何じゃったんじゃ⁉︎ 今のは⁉︎」
さも何事もなかったかのように話し出す葛葉を静止させ、珍しく鬼丸がツッコミを入れた。
「え、何って……お悩み相談?」
「なぜうぬはごろつき相手にお悩み相談してるんじゃ⁉︎」
ツッコミどころしか無い葛葉の返答に、鬼丸は声を荒げる。
はぁはぁと息を切らしながら、何故自分がツッコミなんかをと自問するのだった。
「んー、それが…………鬼丸が離れた後に、案の定あの人達が襲ってきたから。一旦頭を冷やしてもらって、話を聞いたの」
「……さっぱり意味わからんのじゃ……。どうしてそうなるのじゃ……」
ボコすのはもう当然なのだが、何故話を聞くなんて発想になるのか、鬼丸には理解できなんだ。
「ん〜」
「まぁよい……」
「ん、それで? 何をしてたの?」
「む? それは言えのんじゃぁ〜」
「んー怪しい」
「ほれ、行くのじゃ!」
葛葉の問い掛けをはぐらかす鬼丸へ、葛葉はじりじりと詰め寄るが鬼丸は下手な口笛をしながら、路地裏の出口を指差し、スタスタと歩いってしまうのだった。
そんな鬼丸に葛葉が疑問符を浮かべるが、まぁいいかと割り切って鬼丸の後を追うのだった―――。
読んで頂きありがとうございます‼︎
葛葉は一応は23年間生きたのでね、若いごろつき相手なら相談相手にはなるはずです!
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