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九話 最奥の店

何か今後に関係がありそうなタイトル!

暗い路地裏には足音が響き、暗がりにしか住む場所が無いような者たちが、薄気味悪い顔で葛葉と鬼丸を見てくる。

葛葉が視線を右にやると、鋭そうなナイフの刃を舌で舐める男が居て、左にやるとゴキゴキと拳を鳴らす巨漢が道を塞いでいる。……すごく帰りたい、と葛葉は心の中で涙するのだった。


「よし、葛葉よ。うぬはここで少し待っておるのじゃぞ?」

「……正気?」


全くもって正気の沙汰では無い。

葛葉のことを妻と呼ぶ鬼丸が、こんな世紀末のような裏路地に葛葉を置いてけぼりにするなど考えられようか?

葛葉が「マジかよコイツ……」的な目で鬼丸のことを見る。


「なんじゃ、うぬはごろつき程度に好き勝手させられるほど、自分のことを弱いとでも思っておるのかのう? 違うじゃろ?」

「…………まぁ、確かにそうだけどさ」


Lv.2となった時点で葛葉は既に人外となっているのだ。冒険者にすらなっていない一般人に負けるはずがない、というかあり得ない。


「そういうことなのじゃ。すぐに帰ってくるのじゃ、安心せい。わしも爆速で行ってやるのじゃ!」


そう言って、鬼丸は裏路地に幾つか存在する分かれ道へ歩いて行ってしまうのだった―――。

―――鬼丸の向かった場所は、路地裏に建てられた魔道具店。あまりの複雑怪奇な路地裏の最奥にあるので、見つけるには一週間ほど必要になるだろう。

だが鬼丸は十分で見つけられる。


「たぁのも〜なのじゃ!」


バン! と扉を開けて大きな声で店に入ってくるのは勿論鬼丸だった。


「頼んでいた物を貰いにきてやったのじゃ!」


と言いながら入ってくる鬼丸は地上げ屋やヤクザのようであった。

鬼丸がカウンターまで行くと、カウンターに一つの箱が置かれた。


「まったく、うぬの陰気臭さは変わらんのう。ま、わしとってはどうでも良いのじゃがな!」


置かれた箱を手に取り、鬼丸は店を後にしようと皮肉を言いながら扉の取手に手を掛けた。

が出ては行かず、カウンターに半身を向けて真面目な表情(かお)


「世界が動くぞ……。決まった未来を綴っておる本を読み漁るより、無限の可能性が広がっておる未来を、綴っていく物語には興味がないのかのう?」


と言うが何も起きなかった。


「……今はでなくとも、いずれ興味が沸くのじゃ。楽しみにしておるがよいのじゃ……」


そう言い残して鬼丸は店を後にした。

ドアベルが鳴り止み、静寂へと戻った店内でカウンターの上に置かれた水晶が、淡い光を放つのだった。

読んで頂きありがとうございます‼︎

このすばのような店員さん達がいたら楽しかったでしょうね〜。ま、そんなに愉快な魔王軍幹部はこの世界にはいないので。

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