八話 未成年飲酒⁉︎
ご、五百年は経ってますからね⁉︎
顔をしょぼんとさせて、鬼丸は大人しく男の下から離れて葛葉の下へ移動するのだった。
そして緋月がもういいかなー? と言った感じに葛葉と鬼丸を見やってから、ギルド職員に指示を飛ばした。
「それじゃ、二人はギルドに連れてくね! じゃねー葛っちゃん!」
腰が抜けたのか男はギルド職員に肩を支えられながらギルドへ連れて行かれるのだった。
「……鬼丸、私は大丈夫だって」
「…………じゃが、わしは……」
葛葉の服の裾を指で摘むように掴みながら、鬼丸は変わらずしょぼんとした顔で何か言いたげにしていた。
「そんなに納得できないの?」
「……うぬの胸を誰かに揉まれるのがやなのじゃ」
誰だって嫌だし、本人としても当然だがやだよ。と言いたくなる葛葉だったがどうにかこうにか飲み込んで、どうしたもんかと顔を顰めた。
鬼丸を元気付けるには、どうすれば良いか……。
「……うん、それじゃあさ。今日一緒に寝よ?」
「………………っ⁉︎」
かなりの間が開いてから鬼丸が跳ねるように顔をあげた。驚きでいっぱいの表情をしていた。
「ほ、本当かの⁉︎」
「ほんとほんと……だからさ、あの人達のことは許してあげて?」
「当たり前なのじゃ! うぬと添い寝できるのじゃぞ⁉︎」
と子供のようにはしゃぎ出した鬼丸に、葛葉は失笑してしまった。愛らしく、これだけなら愛嬌のある可愛い子供なのだが……いつもが。
「それじゃあ、デートの続きじゃ!」
だが今だけは、鬼丸は無邪気で愛嬌のある子供になるのだった―――。
「……ねぇ、何処ここ」
鬼丸と共に歩き続けていると薄暗い路地裏のような所に居た。
「ふっふっふっ、うぬには早いと思っていたのじゃがな……」
「何が?」
振り返らずただ真っ直ぐ歩いていく鬼丸の、意味深な言葉に葛葉は困惑を遥かに超えた感覚を味わった。
「なぁに怪しいことはせんのじゃ。ただ、わしらは大人じゃろう?」
「んー部分的にそう」
遂に葛葉の方へ振り返った鬼丸は不敵に笑いながらそう尋ねるように訊いてきた。
葛葉は全然の時に二十歳を超えている、鬼丸は五百年眠っていたから……ん?
「あれ、鬼丸は超えてなくない」
「……細いことは言うでないぞ。酒はもう既に浴びるように呑んでおる、今更じゃ」
「あ」
鬼丸の発言に、葛葉も今更だったか……と納得してしまうのだった。
読んで頂きありがとうございます‼︎
葛葉は前世で二十歳超えてるだけで、異世界では違くない? と思った人は静かに挙手をして下さい。
国民栄誉賞をあげます。
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