六話 暴君を止めるボクってね!
いいタイトル名が思いつかなかったので、残念ながら寒い親父ギャグっぽくなっちゃいました
男がその光景に顔を真っ青から真っ白に変えて、目を瞑りながら十字を切った。
とそんな男と鬼丸の、修羅場を超越したラグナロク状態の二人に近寄っていく影があった。
「―――うーわー、先輩やっちゃいましたね〜」
その影は男に近寄って蹲み込んで、『先輩』と男を呼んだのだった。
「なっ、おま、元はと言えば誰のせいだよ‼︎」
男を先輩と読んだのは、黒髪の所々に青のメッシュが入っている美少女だった。
「そ、そんな酷いです、先輩! 私に罪をなすり付けるつもりですか⁉︎」
「あぁ⁉︎ お前が急に、『あ、先輩! なんか私、今ならなんでもできる気がします! 爆ぜろリアル、弾けろシナプス! バニッシュメント、ディスワールド!』って言ってから変なこと言って魔法っぽいのをぶっ放したからだろ⁉︎」
「先輩…………急な全能感があったら、したくなっちゃいますよね!」
「なわけあるか!」
「え〜そんなぁ!」
「このたわけ!」
とラグナロクから急に二人の世界になってしまったこの空間に、鬼丸が静観して、葛葉が浮かべていた疑問符の数がさらに増して浮かんだ。
「さて、遺言はもう良いかの?」
「あ……許してくれる気は……?」
「死ね」
「ないですよねー」
ゴキバキと拳を鳴らす鬼丸の目は、物凄く殺気がこもっていた。
「―――ちょーっと待ったぁ‼︎」
とあと一歩で鬼丸の手が男の首を握り潰しそうになった時だった、葛葉の背後でそんな声が聞こえて来たのだった。
「え、緋月さん?」
葛葉がその声の主に驚いて振り返ると、のしのしと後ろに葉加瀬やギルド職員を連れた緋月が、こちらに向かって来ていた。
鬼丸は不愉快そうな顔を、更に不愉快そうに顰めるのだった。
「そのお二人は大切なお客さんなんだよね〜」
「……その二人の身柄はこちらで保護をするつもり、だからあまり危害を加えないで欲しいのだけど?」
にししと嘲笑気味の緋月の笑みが、鬼丸に向けられ、鬼丸が拳を更に強く握り睨め付けるのと同時に、緋月の後ろから葉加瀬が出て来たのだ。
葉加瀬は咳払いをしてから、空から降って来た男女を一瞥し、男を殺そうとしていた鬼丸に鋭い視線を向けた。
「ま、ボクも葛っちゃんの胸を揉んだのは許さないけどねっ!」
「ひっ……⁉︎」
ついさっきまでニコニコ笑顔だったのが一気に変わって、男のことを睨み付け、拳をフルフルと震るわせる緋月に、男が情けなくも変な声を上げるのだった。
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