二十二話 晴れる空
遅れましたが無事投稿できました!
「葛葉様……極東は今、復興作業をしているようです」
「……」
「でも邪竜の爪痕が大き過ぎたため、難航しているようです」
「……っ」
「でもそれは誰も責められる謂れのない仕方のないことなんです。……葛葉様が日々を謳歌してる中、確かに何十、何百、何千人かは日々を過ごすことさえ出来ていないかもです」
「……っ!」
「でもそれを! 葛葉様が悩む必要なんてないんです。……私は、葛葉様の責任感の強いところが好きです。正義感が強いところも好きです。ですが、今の葛葉様が抱いているそれは、正義でも責任でも何でもないんです」
「……」
五十鈴の止まらない言葉の羅列が、葛葉の心に深く切り傷を付けていった。
自分は同情しているのだろう、何もせず可哀想だと哀れんでいるのだろう。
「極東のことは、葛葉様が、葛葉様自身が決めるべきです。誰かに言われるでも、誰かが【英雄】を求めているからでもなく。葛葉様自身が決めるんです」
嗚呼、自分はなんて情けない。そんなことすら言われないと気付かないとは、自分の情けなさに失笑してしまう。
今の皆んなとの楽しい生活と、邪竜との激戦を天秤かけた時、どちらが重いかなんてそんなの決まっている。
「……大丈夫だよ、五十鈴。私は行かない、皆んなと平穏に暮らしていきたいから」
「…………分かりました。それが葛葉様の真意なんですね」
「うん、何があっても」
葛葉の目に、言葉に嘘偽りはない。心の底からの言葉だ。だから五十鈴に出来ることはただ一つ。
葛葉のパーティーメンバーとして、葛葉の専属メイドとして、葛葉を信じることだ。
「……じゃ、帰ろっか」
「はい……!」
月を隠していた雲が流れていき、月明かりによって地面が淡く照らされるのだった。
読んで頂きありがとうございます‼︎
とうとう、第四部第二章が終わってしまいましたね。さぁ、果たして、葛葉は極東の騒動に巻き込まれてしまうのでしょうかね〜。
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